新幹線の海外展開が単なる輸出ではない理由

台湾高速鉄道に見る「現地化」の大切さ

新幹線システムを海外で初めて採用した台湾高速鉄道(写真:TPG / PIXTA)
今や台湾の主要交通機関としてすっかり定着した「台湾新幹線」こと台湾高速鉄道。開業から9年目となる今年は初の路線延伸も行われ、7月1日には新たなターミナル「南港」駅が台北市内に開業した。
その台湾で今年5月、JR各社などによって構成される一般社団法人・国際高速鉄道協会(IHRA)が海外で初となる全体会議を開き、台湾高速鉄道のこれまでの経過や現状などについて世界各国の関係者と意見交換を行った。昨年新幹線システム導入を決定したインドをはじめ、高速鉄道計画が進むマレーシアやシンガポールなどの関係者の反応は、そして新幹線の海外展開に向けた取り組みの進展は――。IHRAの宿利正史理事長に聞いた。

 

高速鉄道は「現地化」が大事だ

――今回の会議は初めて海外で行われましたが、台湾で開催した意義は。

日本の新幹線システムを導入して高速鉄道をゼロからつくりあげた最初の例を見てもらえたという点ですね。新幹線は「日本だからできた」と思われがちです。でも台湾の例を見てもらうと、日本以外の国も新幹線システムを導入して優れた高速鉄道をゼロからつくりあげたのだから、自分たちの国でもできるという実感を強く持ってもらえると思います。

――新幹線システムの採用例として、台湾が各国の参考になる点はどこですか。

プロジェクトの途中経過の都合で一部にヨーロッパの規格も混ざっていますが、車両や信号などのコアシステムは日本の新幹線システムで、さらにオペレーションやメンテナンスが現地化できている。例えば人材の育成はJR東海が中心となり、コアの人たちを研修、訓練して、その後は台湾高速鉄道で行っているわけです。この現地化というのが非常に重要です。

――近年は都市鉄道などで、システムの供給と共にオペレーションも他国の企業が担う例が見られますが、日本システムの高速鉄道は現地化が重要なのでしょうか。

日本からの技術的なアドバイスなどはもちろん必要ですし、台湾高速鉄道の台北駅から南港駅までの延伸も、システムの切り替えはJR東海がサポートしているんです。ですが、オペレーションやサービスなどは運営する国が工夫して、責任を持って自国のインフラにしていかないと長続きしないでしょう。高速鉄道は複雑かつハイレベルなシステムインテグレーションが必要なので、これは決定的に重要です。

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