日本企業のウェイボーアカウントの多くは、生真面目な企業広報のような感じ、つまりテレビや雑誌などの従来型メディアに載せるような情報を、従来型メディアに載せるようなプロセスで時間をかけて推敲してから載せているものが多いのですが、朝日新聞は、従来型メディアのアカウントでありながら、思いっきりそこから逸脱しているのです。
具体的には、アカウントをキャラ立ちさせたうえで、当意即妙な個人のツイートのノリで突っ走っているのです。
中国のネットユーザーは賢い
朝日新聞ウェイボーを運営している友人の野嶋剛さんによると、実際に書き込んでいるスタッフたちに、「フォロワーを増やし、読んでもらうために、好きなように発言してもいい」と任せているそうです。
スタッフたちはまるで個人のブログのような感覚で自由に文章を書き、「今日、富士山が超きれいに見える~」と富士山の写真をアップしたり、朝日新聞の社会面に載っている面白い記事を取り上げ、自分なりに皮肉ったりする。日本に住んでいる中国人という目線で書いていて、一般的なメディアとはまったく違います。中国では日本好きな人が読むウェイボーとして受け入れられています。
好きなように発言すると炎上するのでは? と思われるかもしれませんが、野嶋さんは「ネット上の中国人は踏み越えてはいけない一線を知っているので、炎上リスクは捨てている」とか。ネガティブな発言はいっさい無視のスタンスとのことですが、実際、中国のネットユーザーは賢いので、「過去に1回も炎上したことがない」と言います。
ときどき、共産党やチベット問題などの微妙なネタを差し込んだりしているのですが、中国のネットユーザーは、本当にヤバイ話にはまったく食いつかない。どんな話題なら騒いでもいいかをよくわかっていて、ある意味、日本人以上に空気を読んでいるわけです。
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