「天才型の子」への理解が圧倒的に足りない 大人はその才能を見つけ、伸ばせるか?

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簡単に言えば、「天才くん」です。そうした子どもは欧米ではGiftedと呼ばれ、それぞれの才能を伸ばす英才教育が行なわれていたりもします。

彼らは努力しなくてもできると一見思える人たちです。確率的には相当低い割合でしか存在しないはずの「天才くん」がなぜ私の周りにいたのかといいますと、実は、私は東京大学の大学院に在籍していたときに多くの天才くんたちと出会っているからなのです。また、一方では広域通信制の学校の非常勤役員を務めているので、そこにも「天才くん」がたくさんいます。

「天才くん」にはいくつかのパターンがある

私がこれまでに接したり調べてきた「天才くん」にはいくつかのパターンがありますので、まずはそれをお話しましょう。

1.本当に天才くん

努力しなくてもわかってしまう。より正確に言えば、反復を必要としない。いわゆる机上の勉強にはほぼ興味がないが、日常生活から大人の視点や知識を学び取っている。といってもまったく勉強していないのではなく、学校の授業中に内容は完全に理解し、覚えてしまっている。そして授業内容の簡単さに退屈さを感じている。

たとえば、私たち大人が、小学校の1年生のクラスに入って勉強したとしましょう。教えられる内容が簡単すぎて、眠くてたまらない……そんな感じでしょうか。もちろん大人はもともと知識があるからそうなのですが、天才くんたちは、日常生活の中で高度な内容の“勉強”をしているため同じような状態にあります。

つまり勉強や努力をしなくてもできるというよりは、精神年齢が高く、現状のレベルが簡単すぎて合わないというのが実情です。日本は飛び級の仕組みがないので、残念ながら、このような子にとっては学校の授業や勉強は退屈そのものです。(これは俗に、落ちこぼれに対する言葉として「吹きこぼれ」とも言われています)

2.一部の領域に関して天才くん

「特定の領域に関しては天才」という子は非常にたくさんいます。そのかわり、嫌いなことはやらないか、からっきしダメです。周囲の状況がどうであれ、寝食忘れて没頭し続けられる子です。このタイプの子は将来、何らかの分野に特化したプロフェッショナルになればいいのです。

しかしこれまでの日本の教育では、さまざまなことが万遍なくできる子がいいとされてきています。そして勉強内容も評価もそれに沿ったものになっているため、大学受験にもうまく対応できないケースが少なくありません。1科目だけで入学できる大学も一部あるにはありますが、それが天才くんが行きたい大学と合致しない場合が大半でしょう。

次ページ「学業以外の領域で天才」の例
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