バングラ襲撃でISテロは「新段階」へ突入した 予想以上に厄介で危険な存在になっている

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そのテロ攻撃の多くで、ISとアルカイダの地方支部が犯行声明を出した。ISが犯行声明を出した18件のほとんどが、ヒンドゥー教、仏教、キリスト教の宗教的少数派の人々に対する攻撃だった。

今回の襲撃事件で、レストラン内にいた人々の親族は、こう着状態が続く中で警察が張った警戒線に集まって情報を待った。実業家のファズレー・ラヒム・カーン氏は、警戒線の端から何とか、そのレストランを見ることが出来た。同氏は、22歳の息子が人質になっているはずだ、と語った。

カナダで学生をしている息子はラマダンのために帰国。ラマダンの断食明けを祝った後、そのレストランに向かったのだった。カーン氏は「息子を取り戻せるよう、今まさに祈っています」と述べた。警察は彼の息子が、友人2人と共に生き残っていた、と発表した。

「ISの『進化』に追いつけていない」

人質の中には2人のスリランカ人もいた。スリランカ在バングラデシュ商工会議所の元会頭とその妻だ。スリランカ外相は後に、この2人が無事に救出されたと発表した。

また、独立行政法人国際協力機構(JICA)は人質となった日本人が、同機構が支援する交通システム関連事業に参画していた企業の従業員だと明らかにした。日本の萩生田光一官房副長官は記者会見で、日本人の人質1人が解放されたと述べた。NHKはこの生存者を、渡辺玉興氏と特定した。

米中央情報局(CIA)のジョン・オーウェン・ブレナン長官は最近のインタビューで、シリアやイラク以外でのISとの闘いの進捗度が遅い点に関して、珍しく率直に発言。手ごわくて回復力が強いISがテロ活動を新段階へと加速させつつあることに、反ISの同盟諸国が追いつけていないと述べていた。

(執筆:Julfikar Ali Manik記者(ダッカ)、Geeta Anand記者(ムンバイ)、Ellen Barry記者)

(C) 2016 New York Times News Services

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