「生真面目で頑張り屋」ほど危ない海外赴任

メンタルの健康を保つ「6つのセルフケア」

期待と現実のギャップで適応障害になるケースも。海外生活を実りあるものにし、エンジョイするためには、自らのセルフケアも大切だ(写真:NOBU/PIXTA)

企業経験が豊富で精神的にタフな人材が選ばれた時代から、今や誰でも海外赴任する時代となった。精神疾患により医療機関にかかる患者数が国内で300万人を超える現在、厚生労働省は先月24日、仕事が原因で精神疾患にかかり、2015年度に労災申請した件数が過去最多の1515件と発表した。そして海外赴任中に本人や帯同家族がメンタル不全を起こすケースも相次いで報告されている。

日本の労災保険は原則、国内で働く人を対象としており海外での労災保険の適用には会社側が「特別加入」と呼ばれる手続きをする必要があるが、海外に3カ月以上滞在している民間企業や団体の職員のうち特別加入の割合は4割弱との報告がある。今年4月には東京高裁が海外勤務中の死亡に労災保険を適用できないとした東京地裁判決を取り消し、遺族が逆転勝訴した判決がニュースとなったが、海外赴任者をいかにして過労死・過労自殺から守るか、その具体的方策の検討はなかなか進む気配を見せない。

異なる社会での緊張が慢性的なストレスに

昨今の円高影響や海外需要の増加により、海外都市部から離れた地域にプラントごと進出する企業は増えており、特に最近ではアジア諸国への赴任が急増している。多くの赴任者は海外生活を楽しめていると思うが、異なる社会の中で生活する上での緊張は、意識せずとも持続して慢性的なストレスとなり、赴任者本人だけでなく家族の心身にも深刻な影響を及ぼす。そうした例を紹介しよう(関係者が特定できないよう、地域・年代・性別などを考慮し、プライバシーに配慮しています)。

ケース1. 赴任者本人「仕事、もう出来ません」抑うつ不安状態

アジア某都市。20代独身男性A氏。国内での熱心な仕事ぶりを買われ、海外現地スタッフ数十名の管理を任された。しかし着任初日より現地スタッフの年長者リーダーから「自分たちのやり方に口を出さないで欲しい」と一方的にまくしたてられた。その後も自分のミスを認めようとしない、仕事が残っていてもさっさと帰ってしまうといった現地スタッフに振り回され続け、次第に不安緊張状態が強くなってしまった。そのうちに眠れず、わけもなく涙が出てくるようになり、現地心療内科を受診。そのまま帰国となった。
ケース2. 赴任者妻「消えてしまいたい」抑うつ状態

アジア某都市。30代駐在員の妻Cさん。日本では総合職として勤務していたが、そろそろ子どもを授かりたいとの思いから悩んだ末に退職、夫の赴任に帯同した。しかし見知らぬ土地での孤立感、知り合いのいない心細さ、思うように進まない不妊治療への不満といった思いが交錯して眠れない日が続き食欲が減退、仕事に忙殺される夫にも相談できず落ち込む日々。そのうちに生きていても仕方ないと思うようになり、多量の睡眠薬と酒を飲み朦朧としていたところを帰宅した夫に発見され、現地の精神科に入院となった。

 

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