琴奨菊の勝因は「重層的メンタル采配」にある 「琴バウアー」だけじゃない!妙策の数々

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琴奨菊を優勝に導いたメンタル術とは?(写真:日刊スポーツ / アフロ)

前回は、日本中に激震が走ったSMAPの解散騒動から、これまでと違う世界に踏み出すときにも、もと居た場所での信頼や友情を失わず再成長を図る方法について、アンガーマネジメント的思考を交えて検討しました。

さて今回は、先の大相撲初場所において、日本出身の力士として10年ぶりの優勝を果たし、日本中を熱狂させた琴奨菊関を取り上げます。

「琴バウアー」はすっかり有名になりましたが、こうした彼のさまざまな取り組みが、実に多くのアンガーマネジメントテクニックと絡んでいることをご紹介し、私たち自身も簡単に「あきらめない」ために、どのような思考が有効かを考えていきます。

「史上最スロー記録」の舞台裏

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相撲人気は2014年から回復基調にあるといわれています。同年の秋場所では、若貴全盛時代の1996年以来18年ぶりに14日間の満員御礼を記録、年6場所合計の大入りは58日間となり、1997年(77日間)以来の多さとなりました。

人気回復の牽引役になったのは遠藤関や逸ノ城関といったニューヒーローたちでしょうが、それでも何か物足りなさを感じてしまうのは、日本出身力士の優勝が2006年初場所の栃東関以来遠ざかっていたこと。そんな中で今回、琴奨菊関がみごと優勝を治め、日本中の相撲ファンをさらに湧かせてくれました。

琴奨菊関の31歳11カ月での初優勝は、年6場所制が定着した1958年以降3番目のの年長記録。さらに大関26場所目での初優勝は、昭和以降の新大関で「史上最スロー記録」とのことです。スロー記録となった裏には、右大胸筋断裂など度重なるケガがありました。11勝、12勝する場所もあれば、通算5回の大関カド番(その場所を負け越すと関脇に陥落する状況)を経験するなど、「気持ちをどこに向けていいのか分からないときもあった」というほど苦悩されたそうです。

しかし琴奨菊関はめげませんでした。たとえ注目がほかの力士に向いても、「男は黙って、シコ、テッポウ」と地道な稽古に励む一方、「琴バウアー」をはじめ、さまざまな新規的取り組みも講じてきました。実はこれら、アンガーマネジメントの理論背景と深く通じるところがあるのです。

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