日本人が知らない「男の更年期」の恐怖 「うつかな?」と思ったらコレを疑え!

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――もっとも心がけるべきことはどれになるのでしょうか?

十分に睡眠をとることです。テストステロンは、夜中につくられるのです。とくに、丑三つ時(うしみつどき)、夜中の1~3時の睡眠は重要です。LED照明などは消して、しっかり睡眠をとってください。

LOH症候群の男性患者のなかには、長距離通勤で睡眠が十分確保できていない方がよくいらっしゃいます。そうした方は、週に一度は会社の近くのビジネスホテルに泊まるなどして、睡眠をしっかり確保していただきたいものです。

また、睡眠とあわせて、適度な軽い運動を続けることも重要です。ただし、マラソンなど運動のしすぎはかえってマイナスになりますから、ご注意ください。

――仕事の場などでテストステロンを上げる方法はありますでしょうか?

何らかの自己表現を行い、それを評価されて、自信を持つことでテストステロンは高まります。心理学用語でいえば、承認欲求が満たされたときといってもいいでしょう。仕事でうまくいって誉められたり、部下から感謝されるといったことです。仕事でなくても趣味やボランティアの場でもいいので、自分の存在意義が認められる場所があるとテストステロンを維持していけるはずです。

「鼻の下を伸ばす」のも効果的

先ほども述べたように、会社のなかでいちばんテストステロンが高いのがたいてい社長であることも、存在意義が認められていることと関係あるのでしょう。

それと、これは仕事とは関係ないでしょうが、好みの女性に対して顔がゆるむ、いわゆる「鼻の下を伸ばす」状態でもテストステロンはグンと伸びます。

――最後に、最近元気がない男性に向けてお伝えしたいことはあるでしょうか。

テストステロンは、社会の中で自分をアピールし、未知の世界に旅立たせる「夢と冒険のホルモン」であると私は思っています。

テストステロンが高ければ、バリバリ働いて、仲間や家族、他人とのつながりを大切にしながらも、社会全般に関心を持ち、人生を積極的に楽しもうという意欲がわくものです。いつまでも若々しく、男らしさにあふれますから、必然的に女性にもモテる可能性が高まりますし、ビジネスシーンで男性からの支持も受けられやすいでしょう。

また、年を取ればだれでも老化するものと思われがちですが、老化にもテストステロンが大きなカギを握っています。テストステロンが高ければ、若さを保つことができるのです。

男の人生を決めるのは男性ホルモンです。ぜひとも、もっと多くの人に男性ホルモンの役割と存在意義を知ってもらい、テストステロンを高く保つ生活のコツを実践していただきたいものです。

堀江 重郎 順天堂大学医学部教授

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ほりえ しげお

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科外科教授。泌尿器科医。医学博士。日本Men's Health医学会理事長。1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、泌尿器がんの根治手術と男性医学を専門とする。すべての男性を元気にする医学を研究している。
一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館)、『ヤル気が出る!最強の男性医療』(文藝春秋)などがある

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