ハンガリー中央銀行の教訓に学べ

政権と中銀の緊張関係は日本と類似

中道右派の首相返り咲き、憲法改正、中央銀行法改正と聞けば、多くの読者は日本の状況を想起するに違いない。実は、これはすでにハンガリーで先行して起きていることなのである。

与党3分の2、第3極が右派という点で日本と酷似

ハンガリーでは2010年の選挙で現在の与党フィデスが議会の3分の2を取った。8年ぶりに首相に返り咲いたオルバン首相はさまざまな懸案事項に着手した。ちなみに前政権が社会党という左派、第3党がヨッピックという右派の点では日本の昨年の選挙結果と似ている。

ハンガリーといえば、第1次大戦後の1920年のトリアノン条約で、大幅に領土を狭めたが、新政権は、この条約の日を「トリアノンの日」として記念日にする一方、それうえに近接各国に点在するハンガリー系の人々にも、ハンガリーとの二重国籍を認めるという民族主義的な政策をとっている。 

2008年のリーマンショック後のIMFの金融支援に伴う国際機関の締め付けへの反発と、同国の通貨フォリント下落による外貨建て住宅ローンの返済困難による外資系銀行への反発機運があった。財政再建のため業界を狙い撃ちにした増税が行われ、なかでも銀行税は日本の消費税にあたる付加価値税引き上げとともに増税の中心的存在だった。こうした諸策はEUやハンガリー系国民を抱える隣国スロバキア、ルーマニアなどとの関係を緊張させた。

さらに、前政権が任命したシモル総裁率いる中央銀行がターゲットになった。世界経済危機後の通貨防衛で大幅に金融を引き締めた中央銀行は、新政権のターゲットになりやすい存在だった。

新政権の影響でハト派が政策決定会合の多数派に

インフレ目標が3%であることが低すぎるとしたうえで、任期を迎えた4人の委員の後任には、ハト派を任命し政策決定会合の多数派を握った。筆者は2011年3月にハンガリー中銀を訪問し、政策委員の交代の影響についての感想を求めたが、学者からも選ばれるために影響を楽観視していた。

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