ますます”リア充化”するインターネット PCからモバイルへ、猫から犬へ

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当時のネットユーザーはややもすると、リア充に気味悪がられた。ふだんは無口で挙動不審なのに、パソコンに向かうととたんに生き生きとし、ニヤニヤ何かを読み書きしている様子は、傍目には確かに気味悪かっただろう。この連載のタイトルが、筆者の知らないうちに「ネットって気持ち悪いですか」に決定していたのも、タイトルを考えた慶応SFC・スタンフォード大修士の佐々木紀彦編集長がリア充だからだと確信している。

リア充こわい。

「犬」 それはリア充の兆し

ネット社会はこの十数年で劇的に変わり、リア充がどんどん進出してきた。その兆しをまざまざと眼前に感じたのは、ネット社会に犬が増えたと気づいたときだ。

2000年代前半、“あのころのネット”で人気のペットといば断然、猫だった。例えば「2ちゃんねる」には、「ぬこ」という猫をあらわす愛称があり、「ギコ猫」など猫キャラクターもいるが、犬にはそういった愛称がなく、犬のキャラクターもいない(と思う、たぶん)(※注)

だがここ数年、特にスマートフォン向けの写真投稿サービスで、犬の写真の人気が目立つようになってきた。肌感覚だが、そんな気がする。

猫は単独行動する独立独歩の生き物で、飼い猫も飼い主からの過剰な干渉を嫌い、放っておいてほしがる。仲間と群れず、家に引きこもってネットに興じる“ネト充”は、そんな猫と相性がいいのだろう。一方で犬は、群れることを好み、飼い主にしっぽを振って甘えるなどコミュニケーション能力が高い。毎日散歩させる必要があるため、外出が得意なリア充と相性がいい。リア充がネット進出を強めるにつれ、犬の姿を見ることが増えた……というのが筆者の推測だ。

犬好きなリア充たちが、ネットに大挙して押し寄せている。こわい。

(※注 1月16日追記:読者の皆様から「ぞぬ」という犬のキャラクターがいるとのご指摘を多く受けました。すみません…)

リア充化を後押しした「モバイル」

ネットがリア充化した背景にあるのは「モバイル」だ。ここ5年ほどでインターネットを使う場が激変。家の中でPCからのみアクセスできたものが、ケータイやスマートフォンで、外出先から利用できるものに変わった。パソコンを持っている人はある程度限られていたが、ケータイやスマホは誰もが使っている端末。家にひきこもってPCを叩くオタクの楽園だったネットが、外出して写真を撮ったり、ネットを友人との会話のネタにするリア充のものに変遷したのは、当然の流れだろう。

次ページ時代の変化を捉えた「ニコ動」
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