「英国EU離脱」の影響はいつ収まるのか 「今回はリーマンと別物」は安心材料ではない

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しかし、EUは経済統合から政治統合につながった経緯があることや、その後に金融統合も加わってきた経緯がある。財政統合の難しさは、ギリシャショックなどで実証済みだが、いずれにしても、EUへの加盟国が増加する中でも一枚岩になって前に進んでいくという姿勢は、国あるいは地域の枠組みを大きく変える歴史的実験であるともいえる。

リーマンとは「別物」でも、株価下落リスクがある

そのEUからの離脱、あるいは独立を目論む国や地域が噴出することになれば、それまで進められてきた枠組みは否定され、EUそのものの根幹が揺らぐことになるだろう。そうなれば、リーマンショックとは種類の異なる問題が持ち上がることになるだろう。

この場合、無論、市場には少なからず影響が出ることになるだろう。この手の問題の火種は世界中に存在している。リーマンショックと今回の問題は違うことが、これ以上の株価下落が起きないことの理由にはならない。

むしろ、リーマンショックとはレベル感や次元の違うことが起きるのではないかと危惧している。

実際にトレードしている者の感覚からすれば、今回の英国のEU離脱という大事件の市場の最初の反応は、確かに行き過ぎと感じる部分もある。しかし、それは値幅よりもむしろスピードといった方が正しいかもしれない。

市場における価格決定の背後には、数え切れないほどのシステマティックなトレードがうごめいている。一つの事象あるいはニュースなどをきっかけに、大量の発注がなされていることは、最近ではよく知られている。

今回の問題で確かに大きな値幅が出たが、それくらいのショックであったことは否めない。しかし、その下げのスピードたるや、人間の手ではもちろん追いつかないレベルだ。今回のように、ポンド円が160円から133円まで短時間で急落するといったことは、人間の手では到底できない芸当である。

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