老朽原発の運転延長審査が最優先された理由

関西電力・高浜1、2号機が40年超の稼働へ

関西電力高浜原子力発電所1号機と2号機(写真:共同)

原子力規制委員会は6月20日、関西電力に高浜原子力発電所1、2号機の40年を超す運転延長を認可した。これにより、関電は同1号機で約18年4カ月、2号機で約19年4カ月先まで稼働させ続けることができる。40年を超す老朽原発の運転延長は福島原発事故後に導入された現行制度の下では初めて。関電は耐震補強などの工事に3年あまりを費やしたうえで、2019年10月以降に再稼働させる考えだ。

老朽原発の運転延長については、原子炉等規制法の改正を進めた当時の民主党政権下で"40年ルール"が設けられ、その際に「例外中の例外」(細野豪志原発担当相=当時)とされた。だが、厳格だと見られていたルールは早くも形骸化しかけている。関電・美浜原発3号機でも40年超の運転に向けての審査が進むほか、今後は関電以外からも40年を迎える原発について、運転延長のための申請が行われる可能性が高い。

他社の申請を差し置き、関電の審査を最優先

高浜原発1、2号機の審査プロセスは異例中の異例だった。

新規制基準が施行された直後の2013年7月に再稼働のための原子炉設置許可変更を申請した各社の原発では、審査手続きがいまだに終わっていない。その一方で関電が高浜1、2号機の設置許可変更申請書を提出したのは2015年3月17日と、まだ日が浅い。40年超の運転を認めてもらうための運転延長認可申請書の提出に至っては同4月30日だった。その後、規制委ははるか前に申請した各原発の審査を後回しにする形で、老朽原発の審査を最優先にした。

「昨年の審査会合では、案件数では7割方が関電の案件」「独占とは言わないが、(関電のために審査のマンパワーの)かなりの部分を使っている」

規制委の更田(ふけた)豊志委員長代理は、関電の八木誠社長が出席した今年6月1日の臨時会合で、関電から持ち込まれた審査の大変さに苦言を呈した。

運転延長を認めた原子力規制委員会の会合(6月20日)

現在、関電の原発については美浜原発3号機のほかに、大飯原発3、4号機でも審査が進められている。「大飯についてもぜひバランスよく審査を」と求める八木氏に対して、規制委側からは「(関電ばかり優先できないという)われわれの状況もぜひご理解いただきたい」(田中俊一委員長)、「(審査を独占したことの)責任というべきか、その重みを感じていただきたい」(更田氏)という声が挙がった。

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