草食投資隊「英国EU離脱問題」を語り尽くそう 結論「離脱で得るプラス効果はほとんどない」

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中野:最近、元PIMCOのファンドマネジャーだったビル・グロスが、QEの復活を予測し始めていましたね。恐らくイギリスの国民投票が終わると、ようやく金融政策が発動できるということで、日銀やECB(欧州中央銀行)、FRBが次の一手を考えて動き始めるのではないでしょうか。

渋澤:ただ、いくら金融緩和を進めたとしても、問題解決にはならないと思います。モルヒネをこれ以上、打ったとしても、世界経済が劇的に回復するようなことにはならないんじゃないかな。

中野:確かにそうですね。とはいえ、イギリスの国民投票で残留派が多数になれば、目先的にマーケットは戻すでしょう。それは確実だと見ています。

渋澤:そうでしょうね。

どうなる、ユナイテッド・キングダム

中野:キャメロン首相は、首相権限で国民投票を延期するとまで言い出していますよね。キャメロン首相本人は残留派ですが、このところの世論調査の結果を見ると、残留派の旗色が悪いものだから、とりあえず延期させ、その間にEU各国の首脳と移民問題について何らかの妥協点を探り、再び国民投票に臨むというシナリオを考えているのではないでしょうか。

渋澤:う~ん、でも国民投票の日程をずらすのって、そう簡単にはいかないでしょう。

藤野:もしEU離脱が現実化したら、スコットランドはEUの側につく可能性が大でしょうね。そうなると、ユナイテッド・キングダムが分裂するおそれが高まってきます。

渋澤:あ、その可能性は十分に考えられますね。

中野:まあ、あと数日で嫌でも国民投票の結果はわかるのですが、現時点(16日)でイギリスがEUから離脱するかどうかは五分五分でしょう。ちょうど今、ここに来る前、会社で運用会議をやっていたのですが、正直、現時点で今後の成り行きを予測するのは困難という結論に達しました。短期的なトレンドは読みやすいのですが、果たしてどこまで下がるのか。

渋澤:ドル/円についていえば、1ドル=100円割れは十分射程距離でしょう。

中野:ただ、参院選挙前に1ドル=100円割れというのは、安倍内閣としても避けたいところでしょうね。

渋澤:よくよく考えてみると、2012年末にアベノミクスの旗が振られた時には、その前段階から株高、円安が始まっていました。すでに景気は回復局面に入りつつあったわけですが、たまたまそのタイミングで安倍内閣が誕生し、黒田日銀総裁と共に大胆な量的金融緩和政策を行ったら、株高、円安に弾みがついた。それと逆のことが今、起こっているわけです。つまり、今は株安、円高が進む局面なので、いくら金融緩和を行ったとしても、恐らく下がるでしょう。こういう時だからこそ、ひたすら積み立てをする。人知を尽くして天命を待つという気分です。

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