ニッチな強みを生かせない会社が多すぎる 本当の強みに気付けない残念な人たち

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取材したある部品製造会社は、アフターメンテナンスのレベルが高いという強みをもっていました。

お客様からの問い合わせに熟練のメンテナンス担当がきめ細かく対応。その対応力が次の製品開発のきっかけを数多く作り出しています。加えて、追加の注文も営業以上に取っているとのこと。こうした顧客対応力は会社の強みと言えるのではないでしょうか。ところが、

「うちの会社は製品開発力こそ強み。他の部署はその強みに依存しているだけですね」

と語る社長。どうやら「強み」に気づいていない様子です。本来であればメンテナンスの対応力をさらに磨いて、体系化し、そして社外にプロモーションすることでビジネスが成長する可能性がありますので、残念な話です。

磨けば育つ強みを探す

いずれにしても社内に内包している「強み」を見つけ出して徹底的に磨けばニッチトップとして会社の成長に大きく貢献する可能性があります。みなさんも社内に潜んでいる強みを探してみてください。さらに言えばそれを見つける努力をしている、もしくは磨いている会社は、成長の可能性が大きいと言えます。

つい、社内で成長ビジネスを考えようとすると「これまでにない」とか「まったく違った領域」などと新たな分野への挑戦に目が向きがち。たとえば、取材した自動車部品会社は電気自動車の時代になると自社の製品が不要になるとの危機感もあり、自社には将来的に生かせる強みはないと決めつけて、

「新たに農業ビジネスに取り組むことにしました」

と社内に誰も経験がない、ノウハウもない領域で成長ビジネスを行おうとしていました。そのために社内で若手社員を人事異動させて経営陣と国内外の視察をおこなって「しいたけとかほうれん草がいいのでは?」と分野を決めるプロセスに入っていましたが、誰も専門家がいないので決めるまで、相当な時間がかかりそうです。

でも、本当に社内にはニッチトップを目指せる強みはないのでしょうか?もう一度、社内を徹底的に見つめなおして、磨けば育つ強みを探してみてはどうかと思います。同様にみなさんの会社でも隣の芝生が青く見えてしまい、自社の強みを見逃すようなことがないよう気を付けてみてください。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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