心が強い人は「ムダな考え」を消している 要らない「妄想」をなくす方法教えます

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この言葉抜きの練習を、日常場面でやってみましょう。たとえば職場の上司に不満を感じて、「あの人、たいして仕事はできないくせに、部下にはやたら厳しいんだよな」と考えたとします。そのときは、こんなふうに言葉を抜きます。

「……、……に、……な」

もう意味をなしませんね。これくらい言葉を抜くのです。そして「言葉で考えない状態」に慣れていきます。

実際に「仕事ができなくて」「厳しい」上司だとしても、考えつづければ、ストレスは溜まる一方です。だから、自分にプラスの物事に専念するために、あえて言葉を抜いて「考えを増やさない」のです。

なお、人間の思考グセのひとつに「判断」があります。自分や他人の能力・性格のよしあしを判断したり、どちらが上か下かと比べてみたり、勝った負けたと一喜一憂してみたり……これらはすべて「判断」です。

こうした判断や妄想にアタマを乗っ取られてしまうから、ツラくなる。だから、考えすぎない、判断しない。つまり「あえて言葉にしない」。そのための練習が「言葉抜き」なのです。

妄想が消えれば、悩みのほとんどは消えてしまう?

『これも修行のうち。』(KADOKAWA)「これも修行のうち」―この口グセ(心の使い方)で、すべて変わる!「不安」も「怒り」もすべて妄想だったと気づけます。「シャワー」を浴びる、目を閉じ 「食べる」、ネコを「愛でる」…「嫌いな上司よ、ありがとう」―イヤなことは「自分を磨く」ツールになる。日常生活、仕事で使えるプチ修行50 画像をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ちなみに、この「言葉抜き」は、かつて私が寺で修行し始めた頃、古い禅の指南書の中に見つけた方法です。そのときは、新鮮な驚きを感じるとともに、働いていた頃の自分が「ずいぶん損していた」気がしました。なぜならかつての自分も、ムダな考えで一杯だったからです。

人は「考えすぎ」ではないでしょうか。過去を引きずり、人の評価を気にしすぎ、自分を責めすぎて、苦しんでいます。でも仏教的にいえば、「目的の達成に役立つ、効果的な思考」が「正しい思考」であって、それ以外の苦しい思考は、ただの「妄想」なのです。

パソコンやスマホなら、定期的にクリーンアップして快適に動くようにしますね。心だって、ムダな反応がかなり溜まっているはずです。だから、きれいに消去して、快適な状態に戻してあげる必要があるのです。

「言葉抜き」と同時に、「正しい考え方」の練習も積んでいきましょう。これは「言葉を覚える」練習です。

先ほどの「仕事の失敗」事例でみたとおり、もし「ムダな思考」しか知らなかったら、アタマは妄想に流され、悩みは深刻化していきます。しかし「正しい考え方」を知っていれば、ムダな反応に歯止めがかかり、本来の仕事に早く戻れます。

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