地方創生が「成功例の横展開」でコケる理由 その場所の最適解は、その場所にしかない

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徳島県神山町、地元の老若男女が集う「工房山姥」

「地方創生」という言葉、いまや新聞やテレビで目にしない日はありませんよね。私自身も、主宰する営業部女子課が全国27都道府県に支部を置いている関係上、各地方のリーダーやメンバーと接する機会も多く、その重要性を強く感じます。

一方で「地方創生」という言葉に違和感を持っているのも事実です。単なるはやり言葉のように、安易に使われすぎてはいないか……。そしてその裏側には「都会の側から見た地方」という一方的な視線、紋切り型のイメージがないだろうか……。そんな疑問が浮かんでしまうのです。

そこで今回は、地方創生が語られる上で象徴的な存在となった徳島県を取り上げたいと思います。同県は営業部女子課としても数年前から深いご縁がある場所。現地のリアルな姿・考え方を探ります。

外から来た「若い力」がきっかけで町全体が変わった

ITサテライトオフィスの誘致が成功した「神山モデル」。葉っぱを扱うビジネスが映画化された「株式会社いろどり」の上勝町。そのほかにも県外からの移住者対策や、テレワークセンターの誘致、消費者庁の移転など、徳島は地方創生に絡む話題が絶えない地域です。

今回訪れたのは、県の南部に位置する牟岐(むぎ)町。ここは「若い力」がとてつもないパワーを発揮し、町全体が変わった好例なのです。

きっかけは、2014年にスタートした「HLAB徳島」。「HLAB」は、日本の大学生と米ハーバード大学などの海外大生が中心となり、高校生の主体的な進路選択をサポートすることを目的としたサマースクールです。2011年に東京で始まり、長野県小布施町、宮城県女川町など、全国各地で開催されています。牟岐町で開催された際には、およそ100人の大学生と高校生が約1週間滞在しました。

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