詐欺事件で問われるネット広告のあり方 サイバーエージェントもやり玉に?
やらせ関与は否定
ネット広告の中でも、広告であることを明示しない「ステルスマーケティング(ステマ)」は、宣伝効果が高いとされ、ネット業界で一時期もてはやされていた。が、近年は「広告かどうかわかりにくい」との批判が高まっている。12年1月には、アメブロの記事が大手日用雑貨メーカーのステマだと非難が殺到。それをきっかけにサイバーは「(金銭授受などの)関係性の明示に賛同しない芸能事務所にはブログ更新を認めない」という自主規制を導入した。
今回のやらせ記事に関して、サイバーは「まったく知らなかった」と関与を否定したうえで、今後は「対価との関係性の明示をわかりやすくすることや踏み込んだ罰則規定を導入する」。ただ、22件は記事執筆がガイドライン導入前であるため、当該芸能人に対して「アカウントの停止などは行わない」とする。
日本ではステマに対する法規制はまだない。消費者庁の阿南久長官は「一般消費者に誤認がないかという観点からチェックをしたい」との表明にとどめる。米国では、連邦取引委員会(FTC)が「推奨表現を通じて行った誤解を招きやすい、あるいは裏付けのない表示は法的責任を免れない」と厳しい規制を求める。
ネットやメディアの広告手法に詳しい駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部の山口浩教授は「FTCのような規制を持ち込むと、ブロガーの表現の自由が失われるため望ましくない」と指摘する。
ネット産業は未成熟だが、ゆえにダイナミズムがある。それを失わないためにも、社会に受け入れるルール作りが課題となっている。
(本誌:二階堂遼馬 =週刊東洋経済 2012年12月29日-1月5日 新春合併特大号)
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