ベビーパウダーに「発がん性物質」は本当か

原料タルクと卵巣ガンの関連性は?

(写真:Tony Cenicola/The New York Times)

自分は死ぬのだと、ディーン・バーグは思った。そして、その原因を知りたかった。当時49歳だったバーグは、進行性の卵巣がんになるには若すぎると思ったのだ。

卵巣がんの原因になり得るものをインターネットで調べると、あるものが彼女の目に飛び込んできた。タルクを原料に含むベビーパウダー(タルカムパウダー)だ。バーグは不妊や子宮内膜症などの危険因子は持っていなかったが、30年にわたってベビーパウダーをデリケートゾーンに使っていた。

「バスルームに行き、ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダーをつかんでゴミ箱に投げ入れた」と、現在59歳でサウスダコタ州スーフォールズで医師助手をしているバーグは振り返る。「他には考えられない」と思ったという。

J&Jはベビーパウダーの安全性を主張

49歳のときに卵巣がんに罹患したディーン・バーグは、30年間にわたってベピーパウダーをデリケートゾーンに使用していた

バーグは、日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を相手取って訴訟を起こした何千人もの卵巣がん患者の最初の女性だ。彼女たちは、同社のベビーパウダーががんの原因だと主張し、タルクとがんの関連を示した研究を証拠に挙げている。1971年のウェールズの研究では、タルクの粒子が卵巣と子宮頸部の腫瘍に留まっていることが発見された。

それ以降、数多くの研究がタルカムパウダーを性器に使用することで卵巣がんの原因になる可能性があると指摘している。5月上旬にも、アフリカ系アメリカ人の女性はタルカムパウダーを性器に使うことで、浸潤性上皮性卵巣がんのリスクが44%高まるという報告書が発表された。

J&Jは看板商品であるベビーパウダーは安全だとし、元がん患者への5500万ドルの損賠賠償の支払いを命じた5月上旬の判決と、7200万ドルの支払いを命じた2月の判決について、控訴する計画だ。

国際がん研究機関(IARC)は2006年、タルカムパウダーが女性器に使用された場合を、「おそらく発がん性がある」というグループに分類した。しかし、世界保健機関(WHO)の付属機関であるIARCは、野菜やコーヒー、ホットドッグも発がんリスクがあるとしている。

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