淘汰進む韓・中造船 消耗戦でも大手は残る

台頭したアジア造船産業の今

現代重工で建造中のFPSO(洋上原油生産貯蔵設備)。韓国大手はこうした海洋構造物で造船の穴を埋める

空っぽの造船ドック。建造途中で放置された船。建設工事が中断したままの工場──。韓国南西部の全羅南道地域や中国の長江沿いに広がる風景は、造船不況そのものだ。造る船がなくなったり、資金が底を突いて撤退を余儀なくされた造船所の廃墟が、あちこちに点在する。

日本の造船業では2年後に仕事がなくなる「2014年問題」が叫ばれているが、韓国と中国では一足早く、造船所の淘汰が始まった。「13年の仕事が埋まっていない。一部の造船所は今年からもう仕事がない」(業界団体の中国船舶工業行業協会)という「2012~13年問題」の真っただ中にある。

不況到来に時間差が生じたのは、造船バブル期の受注姿勢の違いに原因がある。03年から07年にかけて新造船の需要が急増した際、「日本は線を伸ばし、韓国と中国は面を広げた」(造船大手幹部)。過去の不況の苦い経験から、日本の造船所は設備を拡大せず、3年先、4年先へと受注残を伸ばしていった。危機が先延ばしになったのはそのためだ。

これに対して、韓国と中国の造船所は建造能力の拡大に走った。中国では政府が国策として造船振興計画を掲げ、巨大な造船基地を各地に建設。政府の計画外でも、省や市が民間資本家などと手を組み、大型造船所を建設した。韓国では大手から中小まで軒並み設備を拡張したほか、造船所の下請けや建設、不動産業者なども次々と造船業に進出した。

2国の猛烈な設備拡張により、造船業界の勢力図は一変した(グラフ参照)。だが、胃袋を拡大した分、餓死のリスクも高まった。

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