上場企業約3600社の約7割を占める3月期決算。この5月に最新の本決算データが出そろった。
企業の業績で基本中の基本となるのが売り上げ(売上高、営業収益)だ。持続的な発展には安定した利益が不可欠ながら、いくら原価や費用を抑えても肝心の売り上げがさっぱり稼げなければ意味がない。
言うまでもないが売り上げとは、企業が商品やサービスの提供などの営業活動によって得た収益のこと。業種や業態、企業ごとに売り上げの稼ぎ方はさまざまだ。では、この売り上げを効率的に上げているのは、いったいどんな企業なのか。東洋経済オンラインは上場企業の最新決算を対象とした「1人当たり売上高」を調べ、トップ500社をランキングした。
その名のとおり、それぞれの企業の直近本決算における売上高を従業員数で割って算出した数値で、全体の売上高、営業損益、平均年収も併載した。従業員数には一般的に派遣やパート、アルバイトなどの非正規社員(臨時従業員)が含まれていないので、実質的な頭数で割り出した数値とは少しズレがあるかもしれないが、企業の営業力や収益性、効率性の目安になる。
上位でも利益を稼げていないケースも
一般的な事業会社と収益計上の概念が異なる金融系(銀行、証券、保険、リース会社の一部)などは除外したため、集計対象は3379社となった。1年前にも同じ趣旨のランキングを公表しており、それも参考にしていただきたい。一部のデータは『会社四季報』(東洋経済新報社、最新号が6月13日発売予定)から抜粋した。
1位は前回に続いてトーメンデバイス。トーメンと2006年に合併した豊田通商系の企業で、半導体や液晶の専門商社だ。サムスン電子のDRAM・フラッシュメモリの扱いを主体としている。扱っている商品と専門商社という業態の特性があるかもしれないが、前期(2016年3月期)でみると116人で1893億円を売り上げており、1人当たり売上高は16億3251
万円にも及ぶ。一方、営業利益率は1%台と収益率は決して高くない。
前回ランキングと同じく上位には石油会社の姿が目立つが、原油市況の影響もあり、前期決算は赤字になっている。売り上げが大きくなりやすい業種・業態はあるが、利益率との関係などを見ると、必ずしも効率的に利益を稼げていないケースもある。 1人当たり1億円の売り上げを稼ぐ企業は441社。対象企業の1割強に当たる。全社を平均すると約5800万円。これは未上場会社でも目安となりそうだ。