ルビオ上院議員とケーシック知事が選挙戦からの撤退を表明し、トランプ氏が共和党の候補となることは確実になった。民主党候補にヒラリー元国務長官が選出されることも確実な状況だが、1年前には泡沫候補扱いだったサンダース上院議員が20州ほどで勝利を収めるなど善戦している。
トランプ氏自身が、ヒラリー・クリントン元国務長官のほうが早く決着が付き、自分のほうが決着までに時間が掛かると思っていたと述べているように、米大統領選挙はまったく予想外の展開となっている。
自ら社会主義者を名乗る民主党のサンダース上院議員を支持しているのは、米国経済の回復から置き去りにされた人々だ。トランプ氏を共和党候補へと推し進めたのも、やはりこれまでの政策に大きな不満を持つ人達である。サンダース候補の主張は言うまでもなく、また、トランプ候補の暴論にも、米国民の本音が少なからず反映されており、これが二人が予想外の支持を集めている理由の一つだ。
「自分たちは豊かではない」、余裕を失った米国人
マスコミでは、トランプ候補が、外交政策に関する演説で、米国の国益や安全を最優先する「米国第一」を原則とする考えを強調したと伝えられている。
米国はこれまで世界全体の利益のために行動するということが建前で、自国の利益を犠牲にすることもあった。しかし、トランプ候補の外交原則は、米国がその余裕を失いつつあることを反映していると見るべきだ。
米国は非常に豊かな国であり、貧しい国々のために相応の負担を行うこともやむを得ない、と多くの国民が考えていた。しかし予備選挙の模様は、自分たちはほかの国のために多くを負担するほど豊かではない、と多くの米国民が感じていることを示している。
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