リフレ政策を実行すると、どうなるのか
さて、実体経済において重要なのは、長期金利であり、投資家としての銀行も、10年ものの国債金利と融資した場合の金利から諸費用やリスクを差し引いて比較する。
そして、リフレ政策を採ったときの国債の大幅下落は、長期金利の高騰であり、これは、日銀にコントロールできない。naiveな(幼稚な)リフレ派は、そのときこそ、国債を日銀が買えばいいと思うだろう。
だが、それこそ、投機家の絶好のチャンスである。日銀以外のすべての投資家が売りに回っているとき、売りまくれば、とことん買ってくれる。そのときに、日銀が勝てるはずがない。
いくらでも買い続けばいいというが、実際にはそれはできない。投資家達が、本当に日銀がとことんまで買い続けると思ったときには、今度こそ、インフレになる。すべての国債が日銀の元にくるから、マネーがあふれる。実体経済が収拾がつかなくなり、日銀は国債を買い支えるのをあきらめる。
このような状況では、政府が日銀に国債を引き受けさせることもできなくなる。なぜなら、マーケットで成立した金利は高すぎて、高い名目利子率を財政を持続的に支えることはできないから、そこで政府は音を上げるはずだ。
このようなときは、当然円安になる。資金は海外に逃避するからだ。この打撃は大きい。輸入ができなくなり、原料も手に入らず、食料の調達もできず、特に、低所得層の生活は極めて苦しくなる。このときに、政府が国債を発行し続け、日銀が引き受け続け、円安が進む、という状況は許容されない。政府・日銀は市場に屈することになるだろう。それを見越して、投機家達は売り浴びせ続けるし、国債保有者も皆売り尽くすだろう。
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