250年前の江戸時代、重い年貢により夜逃げが相次ぐ仙台藩の宿場町・吉岡宿(現在の宮城県黒川郡大和町)に住む十三郎は、知恵者の篤平治から町を救う計画を聞く。それは藩に大金を貸し付け、利息を巻き上げて「庶民がお上から年貢を取り戻す」という逆転の発想だった。計画が明るみに出れば打ち首になるかもしれないという状況の中、十三郎と仲間たちは必死の節約を重ね、町のため、人のために、私財を投げ打ち、現在の貨幣価値にしておよそ3億円もの大金を水面下で集めた――。
5月14日から公開の映画『殿、利息でござる!』のストーリーだが、これは史実に基づく実話だという。この感動の歴史秘話を『ゴールデンスランバー』『予告犯』の中村義洋監督が、ユーモアたっぷりに映像化。さらに阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子ら豪華キャストが集結して作品を盛り上げている。
『武士の家計簿』などの著書で知られる歴史学者・磯田道史准教授がこの話を聞き、原作となる『無私の日本人』(文春文庫刊)の一章に取り上げている。執筆するにあたり、磯田氏は「この話は『庶民の忠臣蔵』だ。この国の庶民には、すごい人々がいたものだ。若い人に伝えなくては」という強い思いで取り組んだという。原作者・磯田道史氏にこの歴史秘話がいかにすごい話だったかを聞いた。
感動のドミノ倒しが起こった
――完成した映画を観ていかがでした?
試写室から出るのが恥ずかしいぐらいに、思いっきり泣いてしまいました。まわりをふと見たら、竹内結子さんも目頭を熱くされていました。さらに驚いたのは広告代理店のおじさんたちまで泣いていたということ。あんな風景見たことなかったので、よっぽどできた映画なんだと思います。監督も、俳優もよく頑張って良い作品にしてくれました。
しかし突き詰めて考えると、もともとこれをやった人たちがすごいと気づいた。僕はこれを「感動のドミノ倒し」と呼んでいるのですが、巡り巡ってこうやって映画化にまでつながったと思っているんです。
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