化学大手社長が語る中国リスク

「大きな心配はない」

沖縄県尖閣諸島の領有権をめぐり、先鋭化している日中対立問題。中国における日本車の販売不振など、反日運動の広がりが現地に進出する日系企業に影を落としている。中国リスクは、現地でビジネスを展開する日本企業にとって大きなテーマとなってきた。

そんな中で、「現時点で大きな心配はしていない」と語るのが三井系の総合化学メーカー、三井化学の田中稔一社長だ。11月14日に東京・汐留の本社で開いた経営概況説明会の場で明らかにした(=上写真=)。

三井化学の中国関連ビジネスは年間2000億円程度と、グループ全体の約15%を占める重要な役割を担う。フェノールや不織布などの化学品を現地に向けて供給しており、このうち現地生産分は8拠点で約600億円。残りは日本やシンガポールなどの生産拠点から輸出している。

反日運動で具体的な悪影響を受けている自動車メーカーや流通系企業などと違い、三井化学が日中対立を深刻視していないのは、「当社のビジネスは(企業間の取引である)BtoBであり、(消費者を相手にする)BtoCとは違う」(田中社長)からだという。

とはいえ、まったくの悪影響がないワケではない。三井化学は自動車のバンパーなどに使われる樹脂製品であるPP(ポリプロピレン)コンパウンドを中国で現地生産しているが、日系車の不振を受けて現在は減産を余儀なくされている。

それでも三井化学が自信を持っているのは、国有3大石油化学企業の一角であるシノペック(中国石油化工)と組んでいるからだ。三井化学は合成ゴムなどで合弁生産を展開しているが、「いわば国家とJV(共同企業体)を組んでおり、先方(シノペック)からも『政治は政治。経済は経済』と言われている。(日中対立は)全体として大きな影響はない」(田中社長)という。日系企業といっても、その業態や進出方法によって、中国リスクへのとらえ方にはさまざまな考え方がある。

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