「スパイではない」パナマ文書提供者沈黙破る 所得不平等と闘う革命の電子化が進行
[ベルリン 6日 ロイター] - 南ドイツ新聞(SZ)は6日、何百万枚にも及ぶ「パナマ文書」を同社に提供した人物から、声明文を受け取っていたことを明らかにした。リークの動機は、文書によって明らかにされた「不正の大きさ」にあるとしている。同人物が動機を明らかにしたのはこれが初めてだという。
同紙ウェブサイトに掲載された声明文は約1800ワード。パナマ文書の提供者は自身を、無名を意味する「ジョン・ドウ」と名乗り、米当局の情報収集活動を暴露したエドワード・スノーデン容疑者など、機密文書を明らかにした他の人たちを称賛している。
「米国家安全保障局(NSA)に関する彼(スノーデン容疑者)の暴露は、英雄として歓迎を受けるに値する。追放ではなく、実質的な見返りを受けるにふさわしい」と、述べている。
提供者はまた、司法当局と協力する意思を示すとともに、欧州委員会、英国、米国や他の諸国に対し、そのような機密情報の提供者を罰するのではなく、保護する措置を取るよう要請。
「内部者であろうと外部者であろうと、疑う余地のない不正を明らかにする正当な内部告発者は、政府による報復を受けるに値しない」と主張した。
パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の暗号化された内部文書を、1年前に南ドイツ新聞に接触して提供したこの人物は、スパイではないと否定したうえで、文書の内容に記された「不正の大きさ」を認識したとしている。
文書は1977年から昨年12月まで約40年にわたり、タックスヘイブン(租税回避地)にある一部企業はマネーロンダリング(資金洗浄)や武器・麻薬取引、脱税に使われていた疑いがあるとされる。
この提供者がパナマ文書の原本を流出させた人物と同じかどうかについては、ロイターは独自に確認することができなかった。提供者の身元や性別は不明だ。
南ドイツ新聞は1年以上を費やし、他の報道機関や国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)とともに、膨大な量のパナマ文書を分析した。
同紙は6日、「匿名の情報提供者『ジョン・ドウ』がSZに声明文を送付」として声明文を紹介。声明文は、情報提供者による行動の説明、あるいはアクションを求める訴えとして読むことができるとしている。
提供者はリークが「エリートによる不正」に関して論議を呼んだことは歓迎しつつ、十分な行動が取られていないと強調。「はっきり言うが、私はいかなる政府や情報機関で、正規・非正規を問わず、一度も働いたことはない」と明言した。
また、提供者は銀行、金融規制当局、税務当局、裁判所、法律専門家に対して批判的であり、メディアに関しては、いくつかの主要報道機関にパナマ文書の提供を申し出たが、断られていたことを明らかにした。
「各々の怠慢による影響は、まさに倫理基準の衰退を意味し、最終的にはわれわれがいまだに資本主義と呼ぶ新たなシステムにつながる。だがこれは、経済的奴隷であることと同じだ」
提供者は、「安価で際限のないデジタル保存と高速のインターネット接続」が、所得不平等と闘う革命の電子化に役立つはずだと声明文を締めくくっている。
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