“新人類”社長の「生きる意味」 新世代リーダー 村上太一 リブセンス社長

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 「日本一クレームに強い男に」村上流の人材育成

現在のリブセンスは3つの事業が中核となっている。前述のアルバイト求人情報サイト「ジョブセンス」を進化させた正社員求人サイト「ジョブセンスリンク」と、賃貸情報サイト「DOOR賃貸」だ。現在、4番目の柱として育成しているのが「転職会議」という名の転職口コミサイトだ。これも村上の「ユーザー視点」が発想の源になっている。他社の新入社員に話を聞くと、「入社前のイメージと違った」という声が多かった。ならば、現役社員の声がまとまっているサイトがあれば便利ではないか。やはりいつでも等身大の発想だ。

09年には渋谷に新社屋を構えた

これら4つの事業については、週に一度の報告は受けるものの、全面的に社員に任せている。「自律的に動いて事業を運営して欲しい」と考えているためだ。事実、育成中の「転職会議」を任されているのは、入社2年目の社員。立ち上げを依頼されたのはまだ入社前のインターンの頃だったというから驚きだ。

「転職会議」の運営する上での基本方針は「口コミは消さない」ということ。よほど悪意のある書き込みは別だが、これから入社を考えているユーザー視点に立てば、現役社員の書き込む情報はプラスのものであろうとマイナスのもとであろうと、有益なことには違いない。「中には掲載されている会社からのかなり厳しいクレームの電話もあるんですよ…」と「転職会議」の宮坂直グループ長は語るが、「彼には日本一クレームに強い男になってもらおうと思っています」と村上は微笑む。

もちろん、経営者の立場からすれば、あれやこれやと手も口も出したくなるが、ぐっとこらえるようにしている。村上の人材育成はある意味放任にも見えるが、「悩めば悩む程、達成した時の喜びも大きい。追いこまれて、悩み抜いた所から面白いアイディアが生まれてくるのだと思います」。かつて、高田馬場の小さなオフィスで仲間達と苦しみながら「ジョブセンス」を生み出した経験を社員にも味わって欲しいのだという。

新世代経営者の見据える先とは

創業時には4人だった社員数も今や約60人へと拡大した。最年少での一部上場を成し遂げ、メディアにも取り上げられる機会が増えた。一躍、世間の注目を集めるようになったが、「自分自身は全く変わっていません。上場することが目標ではありませんでしたから。」とマイペースを崩さない。

だが、最近は多くの経営者と交流することで、多くの刺激を受けるようになったという。中でも印象的なのが、イラスト投稿サイト「pixiv」を運営する片桐孝憲社長のこんな言葉だった。

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