隠し扉奥に秘密が!中国偽物市場に潜入する 撲滅されたはずの市場が存在していた
4月、中国政府が実施した、海外で購入した商品への関税引き上げが波紋を呼んでいる。
中国財務省によると、一般的な家電は20%から30%へ、高級腕時計やゴルフ用品などは30%から60%へ、酒や化粧品は50%から60%へとかなり大幅な引き上げとなる。この狙いは、日本をはじめとする海外での「爆買い」に歯止めをかけ、低迷する国内消費を促す方針だともっぱらの話題だ。
海外での「爆買い」は止むのか?
それはそうだろう。これだけ関税税率が引き上がれば、いくら海外のよい商品であっても、消費者にとってお得感や魅力が半減してしまう。わざわざ海外まで買い物に行っても、こんなに高くついては見合わない、と思う人もいるかもしれない。
だが、今後は政府の思惑通り、中国の消費者たちの目は国内の商品へと向かうのか、というと、必ずしもそうとは限らないのではないか、と私は思っている。
というのも、中国人は中国国内で販売されている商品に対して不信感を持っており、「国内市場はニセモノだらけ」「国内商品は品質が悪い」という意識が非常に強いからだ。近年、国内製品の品質は全体的に向上してきているのだが、関税をこれだけ引き上げても、「海外のよい商品を買いたい」という購買意欲と天秤にかけたとき、海外商品のほうがまだ勝っている、魅力的という人も少なくないはずだ。
関税引き上げの影響で、昨年ほどの「爆買い」の勢いはなくなるかもしれないが、中国人(とくに今後、初来日する内陸部の中間層以上の人々)の日本での購買意欲は依然として旺盛で、ちょっとやそっとの政策転換で急速に冷めるとは思えない。生活レベルが向上し、成熟し始めた彼らは、何でもいいから買い物をしたいということではなく、「ニセモノではない、正真正銘の本物」を求めているからである。
しかし、こうした前向きな動きがある一方、中国の消費の中心地、上海ではまだニセモノ市場が生き残っていることも確かだ。今回、私はその現場を訪れた。
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