東海道新幹線の「トンネル」は、秘話が満載だ 真上に空港の滑走路、弾丸列車計画の名残…

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東海道新幹線には全部で66のトンネルがあり、最も長いのは熱海-三島間の新丹那トンネル(7959m)、最も短いのは新横浜-小田原間の大和トンネル(30m)だ(写真:m-sta / PIXTA)

東海道新幹線車窓の旅。静岡を出た列車は安倍川を渡ると、運が良ければ海側、A席側に「幸せの左富士」が見える。そして間もなく列車は2つの小さなトンネルを抜け、長いトンネルに入る。2173mの、日本坂トンネルだ。

東海道新幹線は、新幹線の中ではトンネルがかなり少ない路線だ。東京-新大阪間515.3km中トンネルは66カ所、68.6km。全体の13%に過ぎない。東海道新幹線の次に建設された山陽新幹線は、全部で142カ所、280kmものトンネルがある。青函トンネルを擁する北海道新幹線に至っては、全線の7割がトンネルである。東海道新幹線のトンネルがいかに少ないかがわかる。

戦前の「弾丸列車計画」の名残が

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今通過中の日本坂トンネルは、戦前、東京-下関間で計画された「弾丸列車計画」の一部として1941(昭和16)年に建設されたトンネルだ。弾丸列車計画が戦争によって中止になるなか、唯一工事が続行され、1944(昭和19)年に完成した。この辺りは東海道本線が土砂崩れの起きやすい地域を頻繁に通っているうえ、トンネルが狭いなどの問題があったため、在来線用に転用することにしたのである。

日本坂トンネルは1944年12月から在来線として使用が開始され、新幹線の建設工事が始まる1962(昭和37)年9月まで使われた。空中写真を見ると、東京方、名古屋方とも新幹線日本坂トンネルと在来線をつなぐ線路の跡が、道路や住宅の列となって残っていることがわかる。

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