JX社長「日本の再編はまだ終わっていない」 日本は世界の石油メジャーと戦えるのか?

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事業構造の見直しを迫られるJXホールディングス。内田社長の胸中とは?
巨大エネルギー企業のJXホールディングスが揺れている。原油価格の下落を受け、巨額の在庫評価損と上流事業(石油・金属開発)での減損損失を計上し、2016年3月期は2期連続の最終赤字に沈む見込みだ。JXは昨年12月に東燃ゼネラル石油との経営統合に合意したばかり。業界再編への思惑が渦巻く中で、次の一手をどう打つのか。内田幸雄社長の胸中を聞いた。

 

――原油相場が激しく変動している。

年初にサウジアラビアとイランの断交の話が出た。昔だったらこれは地政学リスクの典型例で、石油の供給が途絶えるかもしれない。だから原油を買っておこう、という三段論法になったものだが、最近はそれが利かず、むしろ原油価格は下がった。

ただ、産油国の増産凍結で、一時期騒がれた1バレル=10㌦台の可能性は消えるんじゃないか。年末には需給がタイト化して40~50㌦の回復もありうるし、あってほしいと思っている。

投資回収に入るつもりだったが…

――今期は第2次中期計画(2013年度~15年度)の最終年度。評価は?

経常利益4000億円超を掲げてきたが、原油安により達成できない見通しとなった。2010年にJXが発足した時から、われわれが目指してきたのは上流の権益量を増やし、中下流ではコスト競争力を高めることだ。

(北海の海底油田開発など)市況変動リスクが高い大型プロジェクトに集中投資をしてきたのは事実。本来ならこれから投資回収に入るつもりだったが、現在の油価でも耐えられるように資産を入れ替えていかなければならない。

ただ、中下流事業(精製・販売、精錬)は目標の2200億円に対し今期見通しは2220億円(在庫評価損益を除く)。基本的な事業構造はだいぶ達成できていると考えている。

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