正しくサボらないと仕事は効率的にならない

意識の高い日本の人事制度にモノ申す

少しぐらい手を抜かないと心身を壊してしまいます(写真:wavebreakmedia / PIXTA)

健康経営――。筆者はこれまで「『休めない』日本人の生産性が著しく低い理由」(2015年10月31日配信)をはじめ、何度かこのキーワードを取り上げてきた。

新年度に入り、会社によっては年度替わりをきっかけに新しい制度がスタートしたというケースもあるだろう。仮定の話になるが、あなたの所属する組織が健康経営に取り組むことが決まり、それに関する説明会が開催されたと想像してほしい。健康経営というネーミングから漂う年寄り臭さに参加意欲を削がれず、説明会中に襲いかかる睡魔に打ち勝ち、スマホに手をのばさない自信がある人は、どれほどいるだろうか?

産業医としての勤務経験のある筆者の感覚では、真面目にそうした話を聞いていられるのは最前列に座るような人ぐらいだ。端的に言えば、日本の健康経営は、まったく市民権を得られていない。そんな危機感から、これまでとは違う切り口で健康経営に取り組もうという面白法人カヤックが実施した「正しいサボり方研修」というユニークな取り組みを紹介したい。面白法人カヤックは神奈川県鎌倉市に本社を置くWeb制作会社で、その名のとおり、「日本的面白コンテンツ事業」を業務内容と標榜している。

筆者はカヤックの正しいサボり方研修で講師を務めた。詳細は「『休めない』日本人をこれ以上増やさない発想」(2016年2月27日配信)で記している。なぜ、「健康経営」が「サボり方」になったのか。これを仕掛けた面白法人カヤック編集部兼人事部の三好晃一氏は、「効果はありそうだけど、そんなに参加したくならないという罠にハマって、現場がついてこず、人事だけが頑張っている施策にしたくなかった」と話す。

不健康ではない=健康?

「鬱(うつ)ではない」「風邪ではない」など「不健康ではない」ことを健康だと定義するのは危うい。

企業が健康経営の投資対効果を狙い、打ち出しがちな策のひとつが会社の医療費負担削減だ。医療費総額の増加に伴い、企業の医療費負担も年々確実に増加している。一方で個人、特に青壮年の年齢層の医療費負担は年に数千円いくかいかないか。そこで会社が医療費削減を目標にした施策を打ち出したところで、特に平均年齢の若い組織では「私には関係ない」という現場からの冷ややかな視線が人事に向けられるだけ。そういった社員の「無関心」こそが、健康経営を含め人事制度の難しいところである。

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