公募価格割れIPO銘柄は、下値を拾う好機だ 「1ドル115円台回復」が4月の焦点に

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4月1日は、国内では未成年者向け少額投資非課税制度(ジュニアNISA)の開始、電力小売りの全面自由化、3月調査日銀短観の発表と続く。一方、米国では3月雇用統計が控えている。仮に米労働市場が強い結果としても直ちに米利上げ期待にはつながらないとの見方がある一方で、4月の利上げもまだ完全に否定できない。

日本株の焦点は原油市場から為替市場へ移りつつある。3月前半、原油価格の反発が日本株の戻り歩調を強めさせた。3月中旬、ドル円が一時110円台まで振れたものの、円高進行に対する日本株の耐性を感じさせた。3月29日もドル円が113円台半ばまで弱含むと、日経平均株価も一時プラス圏に転じる場面もあった。ただ、物色の中心が中小型株に限られ、東証1部売買代金は2兆円を下回っている。大型株がさえないのは円高による来期企業収益を不安視している表れといえる。

2013年4月4日に日銀が異次元緩和(黒田バズーカ1)を導入してから、まもなく3年が経つ。当時の日経平均株価は1万2634円から1万5627円まで急騰、1カ月半で24%近くの株高となった。

マイナス金利導入発表時の株価回復はいつ

2016年1月29日に日銀がマイナス金利導入(黒田バズーカ3)を発表した。サプライズ緩和として一時的に株高・円安が進行したものの、続かなかった。その後は欧州の信用不安、原油安、中国経済の減速懸念などから世界的なリスク回避が加速。乱高下を繰り返した日経平均株価は1万4900円台から1万7100円台まで急速に値を戻した。ただ、2カ月前のマイナス金利導入発表時の1万7518円に届いていない。

まとめると、足元のIPO市場は公募価格割れがみられるが、上場後の下値を拾う好機に。大型連休前後の需給改善も想定されるなか、新興市場のマザーズ指数が8カ月ぶりに1000ポイントを回復してきた。今後は独自のビジネスモデルに強みのある企業中心に、セカンダリー市場での伸びしろが期待できる。

日経平均株価は下値を切り上げてきた。目先は配当再投資やお化粧買いによる押し上げ効果、新年度以降も年金の運用見直しによる買い等が下支え効果になりそうだ。移動平均線からみると、25日線(約1万6700円)を下値メド、75日線(約1万7400円)を上値メドとして踊り場を形成している。3月は原油価格がいったん底入れした。4月はドル円が黒田ラインといわれている115円台回復できるか。なお、例年4~5月の日経平均株価は堅調な傾向がみられる。まずはマイナス金利導入発表時や75日線となる1万7400~1万7500円台回復がポイントとなる。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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