政投銀が鬼怒川ゴムにTOBを仕掛ける狙い

グローバルサプライヤーへの変身なるか

グローバルサプライヤーへ変身できるか

地味な自動車用ゴム部品メーカーである鬼怒川ゴム工業が一躍脚光を浴びることになった。3月11日、日本政策投資銀行(以下、政投銀)が設立した株式会社・VGホールディングス第一号を通じて同社の株式公開買い付け(TOB)を行うことを発表したからだ。買付金額は一株780円で、最終的には全株の取得を目指し総額526億円を予定している。

政投銀の投資は「成長戦略支援のための付加価値創造型エクイティ投資(VG投資プログラム)」の一環。事業会社に投資し、とくに海外戦略、提携・M&A戦略、資本戦略など政投銀のノウハウを使った成長支援を行うものだ。旧ソニーケミカルに60%出資、デクセリアルズとして組織・事業を再編し、2015年7月に東証1部に再上場させた例がある。ただ、上場企業のTOBを実施するのは今回が初めてだ。

政投銀はほかにも出資先が多く、中国をはじめとした当局の競争法上の審査を受ける必要がある。このため、株式の公開買い付けの開始は7月上旬になる予定。ただ、大株主の日産自動車(出資比率20.2%)と東洋ゴム工業(同11.8%)の承認は得ているため、8月にも3分の2の株式を取得し、上場廃止に進む可能性が高そうだ。

脱日産依存、グローバル化を推進

自動車用ゴム部品を製造

鬼怒川ゴムはシール材を中心とした自動車用ゴム部品の大手メーカー。タイヤとワイパーブレード以外の自動車用ゴム部品はすべて生産している。足元の業績は堅調で連続増配を続けてきたが、PERは7~8倍と市場の評価は高くなく、時価総額は400億円前後にとどまっていた(今期についてはTOB発表後に期末配当を行わないと発表)。

同社は日産グループ向けが売り上げの6割を占める。しかし、自動車メーカーはグローバル化が進展するにつれて、部品会社にもグローバル拠点で均一な品質の部品を提供することを求めており、その結果、系列に関係なく部品会社が選ばれるといったことが起きている。

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