ソードアート・オンライン「VR実験」の舞台裏 仮想現実空間は、大きな可能性を秘めている

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目の前に広がる街の風景

Oculus Riftの開発版を用いていることもあり、目の前に拡がる仮想現実は解像度が低く、まだ進化の余地は大きい。仮想現実の中での行動も、生体情報から考えを読み取って仮想世界の中で自由に動けるわけではない。実際の手振り、身振りで示さねば動きまわったり、敵と戦ったりすることはできないが、その没入感たるや想像を越えるものだった。

さて、説明が前後したが、ソードアート・オンライン ザ・ビギニングは川原礫氏によるSF小説「ソードアート・オンライン」の世界観をもとにしている。

SF小説を仮想体験できるイベントに10万人が集まる

小説世界で実現されたシステムの開発初期という設定。研究室さながら白衣のスタッフが対応している

ソードアート・オンラインは、視覚や聴覚だけでなく、触覚や味覚など人間の五感と接続できる”ナーヴギア”という装置を通し、ゲーム世界に迷い込んで戻れなくなった者たちが、現実世界へと帰還するまでを描いていた。

小説の中でアインクラッドを作り出したのは天才プログラマーの茅場晶彦。その茅場がソードアート・オンラインの開発に行き詰まったとき、目にしたのが日本IBMの”コグニティブ・コンピューティング”だった。茅場は日本IBMとコンタクトを取り、その研究所で”ドイ”という天才プログラマーと出会い、ここに茅場が生み出したフルダイブ型VRデバイスと、コグニティブ・コンピューティングを活用したAI技術が交わり、ソードアート・オンラインの原型を形作っていった……。

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