「並行在来線」が将来直面する深刻な問題

人材と財源不足で"第2の国鉄改革"必要か

立山連峰を背に走る「あいの風とやま鉄道」(撮影:久保田敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2016年5月号「並行在来線の現在」の一部を抜粋して掲載します。

 

整備新幹線開業に伴い、複数の会社が誕生した並行在来線の第三セクター鉄道(北海道新幹線開業後8社10区間、総延長675.9km)だが、今後の課題は少なくない。個々の問題と言うよりも、日本の鉄道網における将来的な課題が、並行在来線会社を皮切りに現れ始めている。

まずは人材の問題である。これまで各社は、運転を含む技術的な部分をJRからの出向社員に頼ってきた。少なくとも発足時はほぼ全面的に頼らざるをえず、また、転換時の支援は、整備新幹線着工時の申合せでもJRに協力が要請されている内容だ。しかし、次第にJRに依存できる環境ではなくなっている。

JRも人材不足の時代に

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国鉄改革の時期、数年にわたって新卒採用がなかった歪みで、JRには特定の年齢層がきわめて少ない。その層が現在、本来なら技術や運営実務のベテランとして中心になるべき40~50歳代に差しかかっている。

従来は、その前の世代の出向社員が若手プロパー社員を丁寧に教え込んでいた。片や急速に定年の時期となっており、一方はまだ経験が浅い。早くから対策に取り組み、いまや8割以上がプロパー社員となった先発の会社でも、十数年を要している。年齢層の歪みの問題はJR本体でも大きいため、今後は限られた人材を外部に出せなくなるのである。

新たに発足した会社でも、10年でプロパー社員主体にする計画を立てているところが多いが、一からの若手がベテランの域に達するには時間が短い。小規模な第三セクター鉄道ならば、実態に見合って出向人数も少なくてよいが、大規模な並行在来線会社ではそうはいかない。人材確保は前例のない独特の課題なのである。

人材問題と密接な関係で左右されてしまうのが、安全や責任に対する意識の問題である。

並行在来線会社等の第三セクター会社では、トップをはじめ要職に行政の人材が就き、実際に鉄道を動かす部門の役職をJR等の人材が固める。JRの現場で、鉄道の安全を脅かしかねない事例を豊富に見てきた現業のプロが、社内全体に本物の鉄道マンとしての安全意識や行動規範を植え付け育てていく。

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