『全脳思考』を書いた神田昌典氏(経営コンサルタント)に聞く

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 その結果として、深刻な事態に気づいたのでは遅い。政治や経済の問題ばかりにフォーカスしてしまって、「根底」で起こっている事態から目をそらしてはいけない。 

--思考との結びつきは。

シンプルに考えればいい。もともとすべての仕事は商品やサービスを通じて、顧客の「現在の、満たされていない状況」を「将来の、満たされる状況」に変化させること。それで、顧客が120%ハッピーになればベストだ。

この深刻な事態も、「満たされる状況」にどうもっていくか、大いに体験を出し合い、衆知を集めることだ。それも具体的な一件、一件のケースで考える。

これは余談だが、おもしろいのはいまの時代、100%ハッピーは受けない。顧客としては、ギブ&テイクが同量で何も起こらないと同じだという。客の予想を超えた、仮に120%ハッピーなら、これはすごいとブログなりでネット発信される。インターネットがインフラとして整ったときの商取引モデル、思考モデルは変わってくる。

--インターネットは思考モデルにも大きな影響が?

技術変革は思考モデルにも大きく影響する。来年に「情報ハイウェイ」が整備され、インターネットが完全なインフラとして整う。高速道路網あるいは物流網が整ったときに日本全国にどういう変化が起こったか。検索エンジンのためキーをたたくほうが、水道の蛇口をひねるよりも、回数が多くなっているといわれる時代だ。

従来は手書きの情報をデータ化する。それを引き出すことに付加価値があった。それが「情報整理」といわれた。だが、いまや「情報整理」は誰でもでき、検索エンジンを使えばなんなくすむ。ここでは付加価値はとてもとれない。新しい知恵を創造するモデルを持たないとならない。新しい時代の付加価値をつくる思考の仕方がわからないことには競争力をもちえない。

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