なぜか語られない「実はPTA参加はお得」! それでもなくならないのにはワケがある

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 最新
拡大
縮小

PTA活動をするいちばんのメリットは、「人とのつながり」という財産を得られることだと筆者は思います。
しかも、身近でリアルな、地元での人とのつながりです。

「社会関係資本」が役に立つ

「人とのつながり」というのは、「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と言い換えてもいいでしょう。

PTAで得られる「人とのつながり」によって、具体的には、どんないいことがあるのでしょうか?たとえば、こんなことが考えられます。

1・何かあったとき安心

災害のときなど、近所に知り合いが多いというのは、やはり安心ではないでしょうか。

5年前の震災時、電車が止まり、電話やメールも通じなくなり、家族と連絡が取れずに不安を感じた人も多かったことでしょう。
筆者も当時、自宅から10キロほど離れた駅にいて、途方に暮れました。家族に歩いて帰ることを伝えたい、子どもや老親の無事を確認したいと思いましたが、手段がありません。

唯一つながっていたツイッターでそのことを発信すると、隣の隣の学区に住む知り合いが、「家まで行ってきてあげようか?」と言ってくれました。とても有難かったのですが、決して近所というほど近くの人ではなかったので、申し訳なくてお願いはできませんでした。

その点、いまはPTA活動などを通じて知り合った人が近所に何人もいる(5年前の3倍はいます)ので、だいぶ安心です。

2・単純に楽しい

「孤立しているよりも、人とつながっていたほうが楽しい」というのは、シンプルに納得いただける点かと思います(もちろん、どんな人とつながるかにもよるのですが……)。

PTAの話ではありませんが、昨年筆者が取材した、東日本大震災の被災地で復興支援の活動をする藤沢烈さんが、こんなお話をされていました。

「震災が起きた後に人付き合いが減った人と、増えた人がいます。増えた人は『すごく復興が進んだ』と感じやすいのですが、人付き合いが少なくなった人たちは、『復興はぜんぜん進まない』と感じやすい。
人とのつながりが弱い方は、地域の町並みが震災前に戻るほど『周りは自分を置いてどんどん先に行ってしまう』と感じ、孤独感を強めるのです。

町を元に戻すだけではなく、孤立感をもつ方のつながりを強めなければ、本当の意味での復興にならないのです」「人のつながり」が日本の課題を解決するより)

「人とつながっている」という感覚そのものが、その人のQOL(生活の質)を左右するということでしょう。

次ページ年配の方が町内会なら、子育て世代はPTA
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT