台南被災現場「厄落とし」が果たす重大な役割

生存者たちへの「心のケア」はどうあるべきか

被災現場で、無料で行われている「厄落とし」。台湾の人々にとって、どんな意味を持つのか?

想像を超えた事態に直面したとき、人の心は平衡感を失ってしまう。異常な体験でバランスを失った心を、いかに日常に引き戻すか――。

2011年の東日本大震災のような大きな自然災害に見舞われることによって、家族や友人の生命を奪われたり、帰るべき故郷や家が消えてしまったりしたとき、その被害に直撃された人々に対する「心のケア」が絶対的に求められることが、近年の調査などから明らかになってきた。

無料の「厄落とし」に大行列

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2月6日、台湾南部をマグニチュード6・4の地震が襲った。震源地に近い台南市で大型のビルが倒壊し、100人以上が犠牲になったことは、日本のニュースでも大きく扱われ、日本全国から支援や募金の声が上がった。

地震発生から数日が経ったあと、台湾のテレビのニュース番組を眺めていると、救出活動が続いていた倒壊現場の近くで宗教団体らしき人々のボランティアがテントをつくり、無料の「厄落とし」をやっているのが目にとまった。そこに、地元の人々が行列を作っているのだ。

震災現場で厄落としとは、いったいどういうことだろうか。

台湾で、厄落としのことは「収驚(しゅうきょう)」と呼ばれる。收驚は、台湾の道教の廟(びょう)などで参拝者にやってくれるものだ。日本における厄落としは降り掛かった悪い運気を取り払うものだが、収驚はそれとはちがって、「何かのきっかけで身体の外に飛び出してしまった魂魄を本人のところに戻す」という意味を持っている宗教行為だとされている。

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