一青妙さんがみた「台南地震」被害の現実

被害は「面」ではなく「点」で起きていた

空から見たビル倒壊現場の様子(撮影・李哲光)
2月6日午前3時57分(現地時間)、台湾南部で発生した地震は、震源地から近い台南市で116人の死者を出す惨事になった。台南市では震度5(マグニチュード6.4)を記録、市内では9棟全壊、5棟損壊、負傷者500人以上と最も大きな被害を受けた。特に、台南中心部からほど近い同市永康区(人口約23万人)では、地上16階地下1階建ての住居複合ビルが倒壊したことで114人が死亡、地震による死亡者のほとんどを占めている。
地震発生から3日後の9日、歯科医で作家の一青妙さんが台南市に入った。一青さんは台湾人の父を持ち、2015年には台南市親善大使に任命されるなど、これまで台南と深い関係を持つ一人だ。ビル倒壊という衝撃的な映像が日本でも流れるなか、台南市の実際の被害と様子、市民の思いはどうなのか。話を聞いた。
(構成:福田恵介)

旧正月休みなのに観光客が少ない

8日夜に台北に入り、翌朝に台湾新幹線で台南入りした。2月8日は旧暦の正月に当たり、台南駅は大混雑。ここでは、駅のトイレが断水して、使えるトイレには長蛇の列。すでに地震の影響を垣間見ることができた。

台南駅からビルが倒壊した永康区へ向かう。タクシーの運転手は「(倒壊した)ビルのほか、1、2カ所だけに被害があるだけで、それ以外はまったく問題がない。せっかくの正月休みなのに、観光客の数が少ない気がする」との話を聞いているうちに、倒壊した「維冠金龍ビル」へ。現場から1キロメートルまでの道路は封鎖されており、そこから歩いてビルに向かった。「維冠金龍ビル」は永康区でも最も広く、にぎやかなメインストリートである永大路にある。永大路は本来は片側3車線の広い道路なのに、消防や警察車両、報道関係者の車両などが立錐の余地もなく立ち並んでいた。

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