人が日本一集まる街・福岡の「タグ付け」戦法

原点は反骨心、高島市長の"異色"地方自治

高島宗一郎(たかしま そういちろう)/1974年生まれ。KBC九州朝日放送で情報番組などのキャスターを務めた後、2010年福岡市長就任、2014年に再選を果たす。スタートアップ都市推進協議会会長、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問、世界経済フォーラムGLOBAL SHAPERS 福岡HUB代表などを務める

――でも、市民は高島さんを選んだ。どうしてでしょう?

皆さんはそれまでの積み上げではなく、飛躍的に現状を変えることを私に求めていると理解しました。私の強みはそれまでの経緯にとらわれず、シンプルに物事を考えられること。就任直後、まずは何より経済を元気にすることが街の活気につながると考え、福岡の特性を分析して、1年目に短期、中期、長期の成長戦略を描きました。

すぐに効果を見込める短期的成長戦略としては、「交流人口増」を掲げました。福岡市民の9割は第3次産業に従事しているという特徴的な産業構造がありますので、交流人口を増やすことが街の活気につながります。

そして中期的戦略が「知識創造型産業の振興」。福岡には一級河川がないため、大規模な製造業の立地に適していない。となれば、IT、ゲーム、映像、音楽などの知識創造型産業を集積させ振興していこうと。

さらに長期的戦略としては、「支店経済からの脱却」です。安定的にここで就職して暮らしてもらうために、本社機能を誘致する。これはほかの自治体でもやっていますが、福岡はそれに加えてスタートアップを支援し、福岡の地で本社を生んでいく取り組みをするわけです。

これまでの「角を取る」地方自治では、立ちゆかない

――成長戦略を明確に定めたのですね。

民間の組織なら当たり前ですが、実は自治体にとってはやりにくいことなんです。今の3つの戦略を発表すると、例えば農業や工業に携わる方から「自分たちに関係ないのか」などとご批判を受ける。でも、交流人口増を狙った観光やMICE(国際会議、学術会議、展示会などのイベント)は非常にすそ野の広い産業で、人が来て、移動し、宿泊し、飲食し、購入することなどが、あらゆる産業に経済効果をもたらします。

これまで自治体が取ってきた施策は、広くまんべんなく「角を取って丸くする」ことでした。でも今、地方にとって大切なのはむしろその逆で、「とがりを出す」、そして「タグ付けする」ことだと考えています。

今、盛んに「地方創生」と言われていますが、これはまさにタグ付けすることでしょう。福岡市だけですべてのニーズに応えることはできなくて、各地域で何ができるというタグが付いていると、皆が自分の希望に合うところを選べる。誰もが自分の生き方を選択する時代に応えられる自治体になれるのです。先の3つの戦略で「とがり」を持ってやってきたからこそ、今の福岡があると感じています。

――1年目に立てた3つの戦略を、今も軸としているのですね。

もっと言うと、選挙に出ると決めて最初に街頭演説をしたときから、「アジアのリーダー都市を目指す」「アジアから人やモノを呼び込んでくる」と訴えていました。この方針はずっとブレていません。

――東京に対して、福岡の強みはどこにあるのでしょうか?

東京には集積のメリットがある一方で、福岡はビジネスコストが安く、クオリティオブライフが非常に高いという強みがあります。コストが安いということは「トライ&エラーを繰り返せる街」という言い方もできる。さほどおカネをかけなくても、充実した食があり、心豊かな暮らしができる。東京に対しては、これまでもその「タグ」を積極的に発信してきました。

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