サントリー、2ケタ増益に潜む"あるカラクリ"

新浪社長が「蒸留酒の改革」に力を注ぐ理由

ビームサントリーの主力商品「ジムビーム」を手に微笑む新浪社長。本格的なシナジーの創出が課題だ

「(2014年に買収した米蒸留酒大手)ビームの統合が順調に進んだ結果だ」――。2月15日、サントリーホールディングスの新浪剛史社長は2015年12月期の決算発表会見で、そう豪語した。

本業の儲けを示す営業利益は、過去最高の1851億円を記録。前期比12.3%のプラスで、3年連続の2ケタ増益で着地した。利益の伸び方で見れば、キリンやアサヒといった国内のライバルを大きく引き離した格好だ。

ただし、この“2ケタ増益”にはカラクリがある。ビーム(現ビームサントリー)がサントリーHDに連結され始めたのは、2014年5月のこと。つまり、同年12月期における業績貢献は8カ月分だけ。翌2015年12月期には、同社の利益4カ月(1~4月)分がさらに上乗せされたのだ。

上乗せ分を除けば増益幅は限られる

2015年12月期のビームサントリーの営業利益は650億円で、その4カ月分となると、単純計算で約210億円。これに対して、同じ期のサントリーHDの連結営業利益は前期比203億円の増益だった。

ビームサントリーの業績には既存の日本での事業も含まれるので、連結業績の増益幅=買収による増益幅ではない。とはいえ、前期比12.3%の増益のうち、かなりの部分を買収による上乗せ分が占めていたと考えられる。

それ以外の連結事業では、飲料・食品子会社のサントリー食品インターナショナル(SBF)が欧州で販売する業務用炭酸水が伸長したものの、中国事業が不振だった。国内外で販売促進費用を積極的に投入したことも、連結利益を押し下げた。

ビーム買収から1年半。原料・資材の共同調達のほかにも、両社が独自に築いてきた営業体制や販路の統一などを進めてきた。当初から想定していた数十億円のコストダウンを達成したが、金額にして1兆6000億円にのぼる超大型M&Aの効果としては、これで十分ではないはずだ。

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