マイナス金利下で安全運用するなら「国債」だ 「個人向け国債・変動10」には3つの利点がある

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その結果、度の強い近眼の視力検査でも出て来ないような細かな数字の比較が方々に並んでいる。これは、見よい眺めとは言いがたい。ちなみに、普通預金で考えると利率0.02%から0.001%への変更は、100万円預けて年間200円の利息が付く状態が10円の利息に変化したということ。そもそも、利回りがいいとか悪いとかを論じることにどの程度意味があるのか、賢い利用者は考えるべきだ。

「個人向け国債・変動10」が圧倒的にいい理由

それでは、どうしたらいいのか。筆者の結論を申し上げよう。できるだけリスクを取らずに安全にお金を運用したい人にとっては、「個人向け国債・変動金利10年満期型」(通称「個人向け国債・変動10」)が圧倒的にいい! 大きく離れた次点として、「1人、1行、1000万円まで」の金額上限付きだが銀行の普通預金を推しておく。

「個人向け国債・変動10」は、もともと現在の金融環境、すなわち、短期資金市場では長期間ゼロ金利が続き、長期資金市場では日銀が長期国債を大規模に購入している影響で不自然なまでに利回りが低下している状況にあって、総合的にすぐれたおカネの置き場所だった。何がすぐれているのかを3点上げると、以下の通りだ。

(1) 国債なので安全(信用リスク)面で銀行預金等よりも有利

ただいまどこかの銀行が危ないとは言わないが、長期金利が下がり銀行の運用利ザヤが縮小ないしマイナス化している現状が続くと、銀行の財務内容は弱体化する可能性があり、また、将来長期金利が急上昇した場合には、債券の値下がりで大損する銀行が出る可能性がある。すなわち、銀行預金を、特に「1人、1行、1000万円」の預金保険の保護限度を超えた金額で持つことは、適切でない。この場合の無難な受け皿として、「個人向け国債・変動10」は適切な商品だ。

かつてよく話題になった「ペイオフ対策」(「1人、1行、1000万円」を超えたお金の安全な置き場所を探すこと)としても推奨できる。さすがの財務省も、「個人向け国債は、銀行預金よりも安全です」とまでは宣伝しないので、筆者が彼らに代わってお伝えしておく。

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