ヘイトスピーチ対策は「新条例」で変わるのか 「表現の自由」との関係にはどう配慮した?

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新条例は7、8月ごろに大阪市で施行される見通しです(写真:白熊 / PIXTA)

大阪市議会は1月中旬、全国ではじめてヘイトスピーチ対策の条例を制定・公布した。大阪市の吉村洋文市長は、この条例を「運用準備と周知の期間を考え、7~8月に施行したい」との考えを示している。

大阪市の条例は、ヘイトスピーチについて「特定の人種や民族の個人・集団を社会から排除し、憎悪や差別意識をあおる目的で誹謗中傷するもの」などと定義。大学教授や弁護士らが委員となる「大阪市ヘイトスピーチ審査会」が発言内容を審査、その意見をもとに大阪市がヘイトスピーチを行ったと認定した団体などの名称や発言内容、氏名を公表する。

対策に取り組んできた弁護士の見解は

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当初、条例案には、ヘイトスピーチに関する訴訟や仮処分等をする場合には、予算の範囲内において、費用の貸し付けなどの支援をするとも盛り込まれていた。しかし、最終的には、削除された。

ヘイトスピーチ対策は、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いで、規制することに抵抗を示す声もある。吉村市長は会見で、審査会のメンバーについて「表現の自由にかかわる大事な条例なので、憲法、法律にも造形の深い方、社会的ないろいろな事象について造詣の深い専門家、そういった方々になっていただきたい」と話している。

ヘイトスピーチ対策に取り組んできた弁護士は、大阪市の条例をどう評価するのだろうか。神原元弁護士に聞いた(以下、神原弁護士)。

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