韓国の朴槿恵大統領がダメなこれだけの理由 大統領就任だけが目標だった国家元首の哀れ

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4月27日、12日間の南米訪問を終えて帰国した朴大統領。その政権運営は、迷走が続いている(写真:Yonhap/アフロ)

外国の国家元首を、他国の人間が批判することは気が引ける。その国家元首を選挙という正当な手段で選んだ国民まで批判してしまうのではないかと思ってしまうためだ。しかも、私事で恐縮だが、記者はその国に留学し、多くの人から親身に接してもらった経験がある。だが、今回ばかりは、どう考えてもおかしい。

韓国の朴槿恵大統領のことだ。韓国・中国に批判的な人からすれば、「何をいまさら」だろう。しかし、どんなにひいき目に見ても、最近の朴槿恵大統領は他国の指導者ながら、心配になってくるほど迷走している。

大統領就任以来、迷走に次ぐ迷走

就任して以来の韓国政治、朴大統領の迷走ぶりを、以下に見てみよう。

まず政党の解散を求めたことだ。2014年12月19日、韓国の憲法裁判所(最高裁判所に当たる)は韓国政府が「違憲政党審判」を請求していた統合進歩党に対し違憲判決を下し、即日解散を命じた。韓国の憲政史上、政党に解散を命じたのは初めてだ。

憲法裁判所は同党が「北朝鮮式社会主義」を目指していると判断、党員には北朝鮮を支持する構成員が多く、彼らが過去、(北朝鮮の)金日成主義=主体(チュチェ)思想の普及を目論んだというのが解散の根拠になった。言論の自由、結社の自由を標榜する民主国家が、どんな政党であれその解散を命じるのは非常に珍しい。しかも、世界的な基準からみると、政党解散を命じる憲法裁判所の判決に正当性がないとまで指摘されている。

言論の自由に対する考え方も問題だ。朴大統領に関するスキャンダルを書いたとして、外国メディアの該当記者を名誉毀損で訴えたのである。その産経新聞ソウル支局長は起訴され、裁判が進行中。支局長は出国も禁止され、4月にようやく出国禁止が解かれた。ほかにも、国内の批判的な報道には、裁判という手段を乱発、「言論の自由」についての理解があまりにも少ない大統領として、海外でも批判の声が上がっている。

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