昨年、来日したフランスの経済学者ピケティが著書『21世紀の資本』で明らかにしたように、世界、とくに欧米などの先進国では貧富の差がかつてないほどに広がっている。
東洋経済オンラインは上場企業の経営者が1年間に受け取る配当金のランキングを独自に試算した。配当とは株式会社が1年間に得た利益の一部を株主に還元するのが基本的な仕組み。赤字の場合で配当するケースもある。保有株数に応じて1株当たりの配当額を掛け合わせることで、それぞれの株主の配当金を算出できる。予想も含めて年1000万円超の配当収入がある567人をランキングにした。
ランキングは本決算後の決算短信に示された実績や『会社四季報』などで東洋経済が独自に予想する1株当たり配当金を用いて計算した。社長名で他の上場企業に大株主として出資している金額も一部加えている。もちろん、このまま手取り収入になるワケではなく一部は税金がかかる。
株式を公開する上場企業では創業一族の社長が大株主に名を連ねていることが多く、庶民とはケタ違いの収入を配当金で得ているケースが見受けられる。日本は米国ほどの格差は広がっていないものの、庶民からすればうらやむような金額だろう。
1位はソフトバンクの孫正義社長。その金額は91億2018万円。ソフトバンクを世界的な企業に育て上げた孫社長の功績は大きく、配当金もケタ違いだ。2位はファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長兼社長が80億4554万円で続いた。
世間的に注目なのは3位の前澤友作氏だろう。ファッション通販サイト『ZOZOTOWN』を運営するスタートトゥディの社長で、直近の受取配当金は24億4166万円に上る。前澤氏といえば、女優でモデルの紗栄子さんとの交際が話題になっている人物だ。ケタ違いの億万長者である。
10億円超の配当を得ている上場企業経営者は9人
10億円超の配当金を受け取っている経営者は9人(前年同時期のランキングでは8人)。1億円超では103人(同96人)となる。参考値として併載したのが従業員の平均年収や平均年齢で、まさに富裕層と庶民の格差を物語る。
会社によっては社長の親族や資産管理会社が大株主になっている例も少なくなく、家庭単位でみるとさらに大きい配当金を得ているケースがありそうだ。庶民が思わずうらやんでしまうほどの高収入を得ているが、それだけリスクを取って会社を興し、大きくした上で果実を得ているという見方ができる。