『マルクスは生きている』を書いた不破哲三氏(日本共産党付属社会科学研究所所長)に聞く

『マルクスは生きている』を書いた不破哲三氏(日本共産党付属社会科学研究所所長)に聞く

「マルクスと現代」の視点から、マルクスの全体像をとらえようとする新書が好評だ。「マルクス研究」60年余の著者にその理解のエッセンスを聞いた。

--「マルクスを、マルクス自身の歴史の中で読む」をモットーにしているようですね。

マルクスは、その哲学を研究する人はその哲学ばかり、経済学の人は『資本論』ばかりを読む。そうではなくて、マルクスはその全体像と思索の歴史から理解せよといいたい。

マルクスは、哲学も自分が生きている社会をどう変えるかを念頭に置いて思索を重ねる。その中で経済が大事だとして経済学に進む。それも経済学の学徒になって大学で教えるためではなく、経済学を使って世の中を変えることこそ合理的な方向だとつかみとる。そういう生き方だから、ものの見方、社会のつかみ方、そしてその社会をどう変えるか、彼の生き方全体をとらえないとわからない。

--この本は「唯物論の思想家」「資本主義の病理学者」「未来社会の開拓者」の3部構成になっています。あえてマルクスの魅力を一言で。

思い込みがない人。

若いころにヘーゲルに著作のすみからすみまでそらんじるぐらい熱中する。しかし、それですべてではなかった。乗り越え方も早いが、ヘーゲル時代に身につけたもののうちいいものはその後に生かす。また、経済学の問題、社会の問題で結論を出しても、足りないと思うと、探求をやめない。歴史の勉強を生涯絶やすことなく、古代から死の直前までを記した膨大なノートを遺した。革命運動についても『資本論』を書いた後の進み方はすごい。『資本論』自体も書き直そうとする。

マルクスが生きた時代は資本主義も初期の初期で、株式会社ができかけたころ。工場の動力源は蒸気機関であり、電話はない。逆に、手紙が無数に残っているので助かるが。

いまのような複雑な仕組みがない資本主義だが、その本性は変わらない。マルクスは、そのカナメのなすところをがっちりつかむ。そういう時代だからこそつかみ出した資本主義の本筋だったが、いまになってもその本筋は変わらない。

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