フィンテックは、銀行再編を促進させるのか 決済インフラ改革の必要性を問う
フィンテック(Fintech)の多くは決済サービス、というよりも「決済インフラ」である。よく名前が出てくる「PayPal(ペイパル)」の発展は、ネット販売(Eコマース:電子商取引)と共に発展し、振り込みのようなこともできるようになった。
このような動きは、米国の決済インフラが、日本と違って「振り込みが即時・廉価・安全ではなく、クレジットカードの保有(浸透)度合いが低い」からではないか、つまり、その国の“金融”事情があるのではないかと考えている。そのため、米国と日本は金融の状況が違うので、そのまま日本に持ってきてもなかなか大きな普及は難しいのではないか。
話題の書『決済インフラ入門』を上梓した宿輪純一氏が、フィンテック導入の功罪について解説する。
ニーズが生む新決済インフラ
現在、日本国内の振り込みは、給与振り込みの口座であったり、預金残高が一定額あったりすれば“無料”であることが多い。しかも、相手の口座に入金されるのも“ほぼ瞬時”である。クレジットカードのおかげで、ネットでの購入も24時間手間なく決済できる。
米国は、小切手社会ということもあるし、日本でいうところの振り込みにも数日かかる。しかも、クレジットカードを持ってない人もいる。
特にこの傾向は、新興国に行けば行くほどはっきりする。決済インフラなど金融の仕組みができていない国こそ、フィンテックが入りやすいのである。たとえばケニアの携帯電話振り込みサービス「M-ペサ(エムペサ)」は、そもそも、銀行に口座を持っていない人のための振り込みの決済インフラである。
金融の状況が違うので、海外でフィンテックが発展しているからといって、日本で発展するとは限らない。進んでいる、進んでいない、の判断も状況によって違うのである。要は、本当に必要なのかということである。
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