銀行との「間違った付き合い」が会社を滅ぼす 有利な条件で取引する手はいくらでもある
TBS日曜劇場の連続ドラマ『下町ロケット』がヒットを飛ばしています。その中で描かれた印象的なシーンのひとつが、主人公・佃航平が経営する中小企業の「佃製作所」が、銀行から融資を断られて苦境に立たされる場面。これが実際の話だったら最悪は倒産に追い込まれかねません。
中小企業にとって資金繰りは生命線。銀行との付き合いがいかに大事かということです。私は中小企業向けのコンサルティング会社を経営し、600社以上を指導した経験があります。そのうえで失礼を承知で申し上げると、ほぼすべての経営者が、おカネと銀行のことについて、あまりにも無知で無策です。
「借金はしないで、無借金経営をすべきだ」
「借り入れた一部を定期預金にしないと借りられない」
「一度抵当権がつけられたら、外すことはできない」
「金利が高いと損をするので、できるだけ安く借りたほうがいい」
多くの経営者が抱いている、こうした考えも、私に言わせればすべて間違いです。世の中に「これが正しい」はありません。やりようはいくらでもあるのに、多くの社長はあまりにも知識が少ない。「銀行はおカネを貸してくれない」とあきらめてはいけません。
おカネを借りやすい支店がある
みなさんが、自宅を購入するために、銀行からおカネを借りようと思ったとします。そのとき、どの銀行のどの支店へ行きますか?「家からいちばん近い」あるいは「最寄り駅からいちばん近い」銀行の支店でしょうか。
普通はそのどちらかでしょう。でも、実は同じ金融機関に借りに行くとしても、どの支店に行くかはかなり重要です。最寄り駅じゃなくて、たとえば隣の駅に近い支店に行ったとします。たったそれだけの違いで、借りられる金額が変わり、さらには融資の可否さえも決まってしまうことがあるのです。
銀行は、店舗によって役割が違います。おカネを「集める」ことを主とした店舗もあれば、おカネを「貸す」ことを主とした店舗もある。管理畑の行員が箔(ハク)をつけるために配属される支店もある。当然、支店ごとの決済額も異なります。
副支店長から昇進した支店長の決裁額が5000万円だとすると、支店長を歴任した人が着任する支店の決済額は、その倍の1億円にはなります。絶対にそうだ、と言い切ることはできませんが、その可能性が大きいのです。だとすれば、7000万円の借り入れが必要なら、1億円の決済額を持つ支店に行ったほうが、おカネを借りやすい。どの支店に足を運ぶかはそれほど重要な問題です。
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