銀行との「間違った付き合い」が会社を滅ぼす 有利な条件で取引する手はいくらでもある

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家を買うおカネを借りられなくても死ぬことはありませんが、これが会社経営となると話は別です。事業資金を借りることができなければ、倒産、それによって最悪の事態を招くことだってありえます。にもかかわらず、多くの経営者は、本社から近いという理由だけで、最寄りの金融機関と取引しようとするのです。

支店ごとの決済額の見分け方

『99%の社長が知らない銀行とお金の話』(あさ出版、小山昇著)。何があっても会社を潰さない、銀行との付き合い方、お金に対する考え方を紹介。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

では、支店ごとの決済額はどうやって調べたらいいのでしょうか。支店の格を見分けるには、「ここに来る前、支店長は、どこの支店の支店長をしていたのですか?」と聞くのが手っ取り早い。副支店長から昇格した支店長より、支店長経験者の支店のほうが決裁額は大きい傾向にあります。また、経験上、各駅停車しか止まらない駅の支店よりも、ターミナル駅にある支店のほうが決裁額は大きいはずです。

【支店の格を見分けるポイント】

・支店長が副支店長からの昇進か、支店長経験者か

・ターミナル駅にある支店か、各駅停車しか止まらない駅の支店か

「決済額の大きな銀行と取引をしたほうがいいのなら、本店とつき合ったほうがいいのではないか」と思うかもしれませんが、それは無理です。本店が取引するのは、売上が500億円以上の大企業です。増収増益を続けている優良企業でも、付き合ってはくれません。

ちなみに、支店の決裁額がわからなかったとき、私は融資担当者に「ところで、いくらなのですか?」と聞いたこともあります。担当者は教えたがりませんでしたが、私は、金額を聞き出すまで、書類にハンコを押さなかった(笑)。すると担当者も早く書類を持って支店に戻りたいので、「うちは5000万円です」と教えてくれました。

銀行の経営統合、どっちの口座を残す?

昨年から、地方銀行の経営統合が加速しています。世の多くの社長は、こうした話題をただ「へえ、そうなんだ。銀行さんも大変だな」と、他人事のようにしか受け止めませんが、これも中小企業の経営者にとっては、会社の行く末を左右するといっていい、重大ニュースです。

では、なぜ、地銀の経営統合が重大ニュースなのでしょうか。通常、金融機関の口座は1つの金融機関について1つしか持てません。つまり、「X銀行・小金井支店」と「X銀行・吉祥寺支店」の口座を同時に持つことはできません。「X銀行」なら「小金井支店」、「Y銀行」なら「吉祥寺支店」というように固定されます。

つまり、「X銀行」と「Y銀行」にそれぞれ口座を持っていたら、両行の経営統合にあたっては、どちらかの支店の口座を選ぶ必要が出てきます。そのときには、おカネを「貸す」ことを主とした店舗の口座を選ぶことはもちろんですが、「X銀行」と「Y銀行」、どちらの方が主流になるかも見極めた方がいいのです。

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