長期病欠市議の報酬問題は、なぜ起きたのか 「個人の不祥事」と切り捨てれば本質を見誤る

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北九州市役所(左)と市役所に隣接するリバーウォーク(写真:☆なつめ☆ / PIXTA)

「秘書で20年、議員として10年。30年間1日も休まず政治活動をやってきたシワ寄せが来たと思っています。こうなってしまったのは(体調の)自己管理を怠っていた自分自身の責任であり、恥ずかしいかぎりです。せっかく(北九州市の市議会議員に)選んでいただいた後援者や市民の皆さまに、ご心配をおかけしてしまいました」

30分弱に及んだ電話取材

福岡県北九州市の木村年伸市議(56)は、編集部の電話取材にこう答えた。2013年9月から約2年4カ月の間、病気を理由に本議や委員会など150回のすべてを欠席しながら、計3000万円超とみられる議員報酬を受け取っていた、という新聞やテレビなどの報道を受け、批判を浴びている「渦中の人」だ。 

1月25日昼、事務所ホームページの番号に電話してみると木村議員本人は不在だった。代わりに電話口で対応してくれた職員の返答は「議員から折り返しお電話させます」。

こういうケースで電話がかかってこなかったり、かかってきたとしても1~2日あるいは3日以上経ってからだったり、というのはざらにある。そんな想定をしながらデスクワークをしていると、木村議員はほどなく編集部へ電話をかけてきた。そして記者が投げたすべての質問に答え、その時間は30分弱に及んだ。新聞(ウェブサイト含む)やテレビでは、やや断片的にしか伝えられていない木村議員の発言を中心に、今回の問題を整理していきたい。

「糖尿病に伴う合併症を併発したことが原因で、(2013年9月以降)入院生活が続いています。無理をしてしまって議会の途中で倒れてしまったこともあります。(議会への出席は病気を)完全に治してからと考えていたのですが、思ったよりも(闘病生活が)長くなってしまいました。復調は難しいかもしれませんが、今年2月の議会にはすべての時間ではなくても出席をさせていただこうと考えています」

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