「タワマン街」武蔵小杉が住みやすい真の理由 新旧住民が交わるプラットフォームがカギ

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知名度が上昇し続けている武蔵小杉。その魅力とは?(写真:TSUYOSHI / PIXTA)

10年前には全国的にほぼ無名だった街が急成長を続けている。川崎市中原区武蔵小杉である。大手不動産デベロッパー7社が集まるメジャー7が2004年から行っている「住んでみたい街アンケート」で武蔵小杉が14位にランクインしたのは2006年。以降再開発の進展に伴い、知名度、分譲価格は上昇し続けている。

東急東横線で渋谷と横浜のほぼ中間に位置する武蔵小杉は、もともとは南武線沿線に連なる電機産業を中心とする生産拠点の一端。工場地帯だった。ところが、1990年代後半から工場の閉鎖などが進んだことに伴い、川崎市が跡地を利用した街作りを開始。2008年に「ザ・コスギタワー」が竣工してから次々とタワーマンションや商業施設が建てられ、住宅価格も上昇し続けている。

2020年までに発展しそうな街では4位

当初は駅東口エリアから始まった開発は駅西側、北口にまで拡大。2017年12月竣工予定の53階建てツインタワー「パークシティ武蔵小杉 ザ ガーデン」の建設が進められているほか、日本医科大学武蔵小杉病院のキャンパス再編に伴うマンション建設計画もある。「住んでみたい街アンケート2015」でも「2020年までに発展していそうな街」として豊洲、品川、勝どきに次いで4位となっているのも故なきことではない。

こうした開発や、それに伴うメリットなどばかりが耳目を集めている武蔵小杉だが、私自身はまったく違うところに注目している。武蔵小杉には面白いコミュニティ活動をしている人が多いという点だ。それがこの街をより魅力的にしているのではないかと思う。

最初に注目したのはタウン情報サイト「武蔵小杉ライフ」と、その公式ブログ「武蔵小杉ブログ」。私は2005年からAll Aboutというサイトで首都圏の街を紹介するガイドをやっているのだが、業務開始にあたり、沿線別、駅別にその街を紹介しているサイトを収集、一覧を作るという作業をした。

首都圏のタウンガイドサイト、商店街サイトなどをしらみ潰しにチェック、そこから面白い、お勧めできるサイトをリスト化したのだが、その作業をしてみてわかったことがある。街によって情報の発信量には大きな違いがあることだ。長く情報発信を続けているサイトは意外に少ない。だが、武蔵小杉ライフとそのブログは情報量が多く、しかも継続されている。ブログに至っては1カ月に44本上がっていたこともあるほどで、しかも、その多くが写真入り。本業でやっていたとしても、なかなか続けられるものではない。

その次に注目したのは2013年9月からスタートした「こすぎの大学」である。これは地元の人を先生に、地元の人が学ぶという形式の学び舎で毎月1度開催されている。同時期には毎週土曜日の朝に集まる「こすぎ朝学」と呼ぶコミュニティも誕生。一体、武蔵小杉では何が起き、誰が動いているのか、日本電気(NEC)に勤務しながらこすぎの大学を主催する岡本克彦氏など、活動のキーパーソンに話を聞いた。

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