あのトヨタが「日本橋」に構えた開発拠点の全貌 自動運転技術を極めるオフィスが本格稼働

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TRI-ADが東京・日本橋に新設したオフィスでは、1人乗りの電動モビリティが行き交う。ゴミを拾うロボットもいた(撮影:尾形文繁)

オフィスフロアをぐるっと一周する200メートルの道路を、従業員が操る1人乗りの電動モビリティが行き交う。アメリカ西海岸のIT企業の雰囲気が漂うが、会社があるのは紛れもなく日本だ。

トヨタ自動車など3社の共同出資により去年設立された自動運転のソフトウェア開発会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)はこのほど、東京・日本橋に新設したオフィスをお披露目した。

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トヨタはアメリカのシリコンバレーに、人工知能(AI)研究を行う子会社トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を持つ。その技術を車両に実装するためのソフトウェア開発を行うのがTRI-ADだ。

今年7月に日本橋の高層ビルに入居し2フロアを使っていたが、12月に入り5フロアすべてが稼働した。畳敷きで掘りごたつがあるミーティングルーム、世界各国の料理を提供するお洒落な社員食堂、ハンモックやマッサージチェアもあるリラクゼーションスペースなど施設の充実ぶりには目を見張る。遊び心満載のオフィスで働く社員もどこか楽しそうだ。

世界のトップ人材を日本橋に集める

自動車業界では自動運転技術の開発競争が激化している。トヨタの本社がある愛知県ではなく、東京に拠点を設けたのも人材獲得の面が大きい。「自動運転技術のポテンシャルは大きく、事故を劇的に減らすことができる。世界のトップ人材を日本橋に集めて、世界で最も安全な車を作るというミッションに挑戦していく」。TRI-ADのジェームス・カフナーCEOは熱く思いを語った。

TRI-ADのジェームス・カフナーCEOは米グーグルの出身。グーグルでは自動運転プロジェクトに創設期から携わり、ロボティクス部門のトップも務めたエキスパートだ。自動運転の実現には優れたハードウェアとソフトウェアの両方が必要との思いから、2016年にトヨタに転じた(撮影:尾形文繁)

TRI-ADでは現在650人が働く。出資するトヨタ、デンソー、アイシン精機からの出向者が合計360人、新会社では新たに正社員を90名、契約社員200人を採用した。海外出身の技術者が半分以上を占める。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)など大手IT企業からの転職者もいる。

トヨタは2020年に高速道路での自動での車線変更機能を搭載したモデルを市場投入する計画を掲げる。延べ床面積2万1500㎡のオフィスには最大1200人が収容可能。TRI-ADとしては、早期に1000人規模まで体制を拡大し、開発を加速させたい考えだ。

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